読書メモ
・「アイディアを10倍生む考える力 」
(齋藤 孝:著、大和書房 \1,200) : 2008.03.16
内容と感想:
「考える」とはアイディアを出すなど生産的なことに結びつく脳の作業だと著者は定義している。
このとき言葉を道具に考える。言葉を操って「意味」を生み出す。
言葉をどれだけ自由に操れるかが「考える力」に比例する、と言う。
「考える力」を鍛え、向上させ、考えることを楽しむのが本書の目的だ。
人間、生きている以上、誰もが何かしら考えて生きていると思うのだが、
様々な「考える」ことの中でもアイディアを生み出すなど知的生産活動に焦点を当てている。
著者がこれまで出した本には「書く力」や「話す力」といったものなど多数あるが、
それらはいずれも「考えて」行なう行為であり、いかに言葉を自由に駆使できるかが結果を左右する。
本書はいろんな「考え方」のヒントを与えてくれると同時に、「考える力」をつけるためのトレーニング方法も書かれている。
研修などでも使えるだろう。
本書は既出の著作をベースに「考える」ことに注目してアレンジした、まさに本書の内容を実践して作った本と言えよう。
いろんなネタを詰め込みすぎで散漫な印象がなくもない。
頭を使わない仕事など決してないと私は思うが、本書はどちらかというと混沌とした状況の中で
何か思いもよらないものを創造したい、という場合には有効だろう。企画といったような業務が相当する。
しかし実際は仕事とはそうしたものばかりではない。もっと論理的に、シンプルに、効率的に考えなければいけないことのほうが
多いと感じる。新入社員など若い人にはまずロジカルな考え方を身につけてもらいたい。
○印象的な言葉
・連想を広げていき、思わぬものがつながってアイディアに結実する
・つながらなかったものがつながる快感。対話の中で出会うことがある。気付き、発見。
・「考える」ことは価値を生み出す作業。付加価値を付ける、改善する、工夫する。発展性
・具体的結果を出すように考える、高密度に考える
・推測力、比較力
・視点移動力。角度を変える、立場を変える、条件を変える
・抽象と具体の「往復力」
・こじつけ力、ずらし、無理矢理アナロジー、誤解力。他人が考えるようには考えない
・偶然力、行き当たりばったり力
・言い換え力
・意欲や考えることなど、人間らしい能力を司っているのは脳の前頭前野の領域。漫画やアニメ、ゲームではこの領域はあまり活発に働かない
・戦争を引き起こすのは最も知性が欠如した状態。二項対立図式。善悪二元論的な思考様式
・キリストの教えには逆説的な表現が多い。聞く人をひきつけることができるから
・聞くときには相手の言葉を受け、それがどこに行きたがっているかを感じる、方位感覚
・考えを引き出すための対話
-目次-
第1章 「考える基礎力」をつける
第2章 「考える集中力」をつける
第3章 アイディア力がつく「考える力」
第4章 「聞く力」を磨いて「考える力」をつける
第5章 「考える力」をつけるトレーニング
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