読書メモ

・「カウンセリングを考える [上]
(河合隼雄:著、\1,300、創元社) : 2004.03.14

内容と感想:
 
本書は「河合隼雄のカウンセリング講座」と同様、四天王寺主催で著者が行ったカウンセリング講座の6回分の記録をまとめた本である(昭和61年から平成5年の間に行われた)。講義内容をそのまま口語で活字化しているから読み易い。脱線も多いがそれも講義ならでは。
 カウンセリングは人間が相手だし、人それぞれに悩みも異なり、対応や判断も難しい。相手の可能性を見つめながら、一緒に歩いてあげる。ただしその距離感がまた難しそうだ。

-目次-
T 現代社会とカウンセリング
U カウンセリングにおける家族の問題
V 不登校カウンセリング
W いじめとカウンセリング
X 事例研究の大切さ
Y カウンセラーの責任と資格

印象に残った言葉を挙げておくと:
・カウンセリングは何の物(商売道具)もいらない仕事
・自然科学、宗教、哲学、心理学など何もかも入れ込んだのが仏教
・思春期の難しい時期をさなぎの状態に喩える
・イジメのかわりに何か流行すればイジメはなくなる?
・みんながちょっとずつ辛抱しているのが日本
・日本人のなんとも言えない、心の中に溜めたままで生きている感じ
・本当のもの書きの小説は、作中で人物が勝手に動き出す
・何者かに突き動かされ、自分はその道具になっている(そういう境地)
・自分のしていることの文化的、社会的な意義

更新日: 04/03/15