読書メモ

・「子どもの日本語力をきたえる 〜親子で読む「理想の国語教科書」
(齋藤孝:著、文藝春秋 \900) : 2004.12.05

内容と感想:
 最近、学力低下が論じられている。今朝(2004.12.12)の日経朝刊の社説では国際的な調査結果から見た日本の子供の「読解力」の急低下について触れている。その元凶は「ゆとり教育」にあるのでは、という意見も世の中にはある。学習量が減れば学力低下は避けられない。詰め込み教育を見直し、量より質への転換を志向することで、創造性を高める方向に舵をきったのだが、子供のいない私には現実がどうかはよくわからない。客観的なデータが物語っているのなら、実際そうなのだろう。
 本書で著者が「はじめに」で言っているように、「日本語力こそが、全教科の基礎である」というのはもっともであり、日本語で教育を受けている以上、ほとんどを日本語を用いて学習しているわけだから、日本語読解力は必須だろう。著者が先に出している「理想の国語教科書」も、日本の子供達の日本語力低下を憂いてのものであった。本書はその「理想の・・」の実践編。「理想の・・」を親子で読むことで、楽しく日本語力を向上させていこう、というもの。第五章では、著者の私塾「齋藤メソッド」での授業風景が収められている。学校の授業が減少しているのなら、家庭で補う必要があるだろう。
 昔は読み・書き・算盤と言われたが、本書では「読み」だけでなく「書き」にも言及している。作文の書き方、漢字の覚え方など。著者はよく量質転化と言うが、「書き」こそは練習量がものをいうのだ。
 ちなみに「ゴールデン・エイジ」とは小学四年からの数年間のことだそうだ。それだけ重要な時期があるということだ。

-目次-
第一章 子どもの「ゴールデン・エイジ」を逃さない
第二章 力強い日本語を子どもにぶつける
第三章 「読み」トレーニングの実践
第四章 「書き」の基礎を教える
第五章 齋藤メソッド・実況中継

更新日: 04/12/19