読書メモ
・「レバレッジ・シンキング 〜無限大の成果を生み出す4つの自己投資術」
(本田 直之:著、東洋経済新報社 \1,450) : 2008.04.06
内容と感想:
レバレッジを意識した「考え方」を身につけ、成果を出していくための本。
その考え方とは労力、時間、知識、人脈の4分野に自己投資し、パーソナルキャピタル(自分資産)を構築し、レバレッジをかけて、
少ない労力と時間で大きな成果を上げる、というもの。
従来の考え方では「労力×時間」が1なら成果も1だったが、レバレッジ・シンキングをベースとした仕事のやり方で
成果を∞(無限大)にできると謳う。
既出の「レバレッジ・リーディング」ではパーソナルキャピタルの「知識」の部分にレバレッジをかけるノウハウを書いていた。
本書のタイトルのレバレッジ・シンキングはそれよりも上位の概念だという。
本書では先の4分野のそれぞれにレバレッジをかけるノウハウについて4つの章を割いて述べている。
労力、時間、知識、人脈の4つはいずれも互いに関連するもので、互いを補強するものと考えられる。
それらにレバレッジを効かすと、仕事の効率が上がり、労力や時間に余裕ができ、
余った労力、時間を再投資することで更にパーソナルキャピタルが増えていく。その繰り返しの結果、成果が無限大になるという論法だ。
本書に書かれていることはある程度経験を積んだビジネスパーソンなら普段やっていることばかりかも知れないが、
それを後進に教える立場になったとしたら容易ではないだろう。本書のようにまとめられていれば、「これを読め」と言えば、
部下と共通認識が生まれるだろう。教える労力も節約できる。
自分自身、時間の使い方が下手だと思う私は、第3章の「時間の固定費を削れ」というのが印象に残った。
1日24時間から固定的な時間(固定費)を引いたのが自由時間(変動費)と捉える。それを自己投資に費やす、という。
「自己投資の時間を天引き」にするという考え方も新鮮だ。
巻末には「レバレッジ・シンキング・チェックリスト」なるものが付いているのだが、本書で書かれている考え方が一覧できる。
「今までの考え方」と対比されており「レバレッジ・シンキング」的な考え方との違いが分かるだろう。
このチェックリストの使い方は、レバレッジ・シンキング的な考え方ができるまで常に持ち歩いて、眺め、頭に刷り込むのだそうだ。
勿論、本書の内容をよく理解した上で眺めなければいけない。
○印象的な言葉
・時間的にも精神的にも余裕をもちながら、大きな成果を上げる
・自己投資の時間を天引きに
・コントリビューション(貢献):相手への貢献。相手に有益な情報の提供。自分が提供できるバリュー
・日本のホワイトカラーの生産性の低さ。生産性向上の努力を怠っている。練習不足のまま試合に臨んでいる状態
・パーソナルキャピタル×マインド=成果。マインドは資産ではないため、マインドだけ高くても空回りするだけ
・ライフデザイン:長期的ゴール
・カラーバス効果:ゴールを明確に描くことで、チャンスを敏感にキャッチできる。選択力
・アクティブ・ルーチン:習慣化を図ったり、仕事を仕組み化する。一般的なルーチンワークは決められた仕事をやらさせるだけのパッシブ・ルーチン。
・KSF:Key Success Factor
・マニュアルの目的:一定の仕事レベルまで全てのスタッフの能力を引き上げること。しかしマニュアルに沿ったことしかやらないのは駄目。マニュアルをベースにそれを超えた対応をする。
・良い行動、良い習慣:自動的に身体が動く。人間の行動の95%は無意識のうちに行なわれている。意識的な行動は続かないことが多い
・小さな習慣から始める:できたら他のこともやってみる。成功体験を得ることで、次の目標に向かう。達成する予感がする。良いスパイラル
・知識労働の時代:満足すべき仕事をしているかどうかさえ知ることが容易でない
・時間投資:自由時間(時間資産)を生み出すための時間に投資する。段取りを作ったり、計画したり、道筋や近道を作る
・積み上げ型の仕事のやり方では「やっても先(終わり)が見えない」。仕事に流される。仕事に追われる
・朝はまず身体を起こして、カーテンを開けたり身体を動かすことで、引きずられる形で脳が目覚める
・「ゼロから一」を生むのは非常にクリエイティブな作業、発明。かかる労力も時間も膨大
・「一から百」はレバレッジ。既にある一の質を高めたり、付加価値を付けるのは少ない労力と時間ですむ。応用、改良
・ノウハウが必要なのは現代が時間不足時代だから。何十年も修業を積まないと一人前になれない時代ではない
・年末は経済予測本の多読で、翌年および今後三年間の見通しを立てる
・”熱”は伝導する。熱のあるところに行くことで、熱をもらってくる
・人脈つくりは長期投資。継続。交流会、ブログ。
・マインド伝染:成長したいと思っている人、マインドの高い人とのネットワーク
・パーソナルブランド:その他大勢とは違う何か
・組織はやる気の高い20%、どちらにも傾く中間の60%、やる気の低い20%で構成される。中間の60%はどちらにも触れる
・パーソナルトレーナー:熟練者などにチェックしてもらいフィードバックしてもらう。軌道からずれていないか。
-目次-
第1章 常にレバレッジを意識せよ
第2章 労力のレバレッジ
第3章 時間のレバレッジ
第4章 知識のレバレッジ
第5章 人脈のレバレッジ
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