読書メモ

・「人生と投資で成功するために 娘に贈る12の言葉
(ジム・ロジャーズ :著、林 康史 :監訳、日本経済新聞出版社 \1,200) : 2008.12.30

内容と感想:
 
著者が、60歳を過ぎて初めて授かった娘に、人生と投資で一番大事なことを語った本。 本の中にもまだ幼い娘の写真が収められていて、親バカぶりを晒していて微笑ましい。 先に呼んだ「中国の時代」にも書いていたが、娘には中国語を学ばせたいと言っている。 「監訳者あとがき」には「人生で大事なことと投資で大事なことは同じ」と書かれている。 投資に限らず共通するものがあるのだろうと私も思う。 監修はジムの指名で林氏が担当にすることになったという。
 4章ではBRICsについて、 ブラジルと中国には強気、ロシアには弱気、インドは懐疑的だと語っている。 また、9章では日本についても触れている。 少子化問題、財政赤字の増加で長期投資向きでないと彼は判断している。 10章では100年後には国の数は300から400になっている、 その逆に数百年もすれば世界の言葉は30くらいになっているとの予言も行なっている。 最終章ではアメリカ通貨ドルについて、そう長くは強さを維持することができないだろう、という。
 娘に語りかけるような文体で書かれているから、短時間で読める。

○印象的な言葉
・(あなたを)周囲が制止しようとしたり、馬鹿にし始めたら成功のサイン
・常識を疑う。疑問をもつ
・周囲と違うことをやるには勇気と情熱
・徹底的に調べる。自分自身で真実を見分ける
・お金をもらえなくても、やりたいことをやる
・細部に注意を払う。裏を取る
・I think ではなく、I know
・自分の良識に忠実
・周到な準備
・複数の異なる見解を知る。大きな視点で世界の変化を捉える
・英国だけしか知らない者に英国が本当に理解できるはずがない
・ロシアは生産性が低い
・インドは官僚主義。過剰な保護政策。最新の技術が持ち込めない
・外国に対して閉鎖的な政策をとった国々は例外なく急速に衰退
・(世界で)誰もが人生において望んでいることは同じ。それに気付けは世界は平和で住みやすいところになる
・へまを仕出かした政治家が、恐怖に駆られて戦争を始める。戦争がよい結果をもたらしたことなど一度もない
・中国株がハードランディングしたときが中国株や商品の買い時
・中国の大きな需要に供給が追いつくのに更に10年かかる
・一見、革新的なこと、目新しいことが始まったかに見えても、過去に似たようなことが見つかる。IT革命も技術革命のうちの一つ。もうひとつの産業革命にすぎない。 それを追いかけていったお金はろくな結果にならなかった。今までと全く違うなんてことは起こったためしがない。
・誰かがそれを「まったく新しいことだ」と言い出したら、市場は過熱気味。そのときは資金を引き揚げるべき。
・無知を自覚する。学べば学ぶほど自分が知っていることが如何に少ないかを知る
・自らが間違いを犯しやすい人間であることを自覚する
・どういう状況に追い込まれたら、自分が冷静さを失ってパニックになるかを知る
・他の人たちよりも早く変化を見つけ出す。自分が知っていることは他人も知っている
・(イデオロギーの)枠組みを失った人々が民族や宗教に帰属意識(アイデンティティ)を求める
・イラク、カナダ、ロシア、インド、ブラジル、イランなどは国家が分裂していく
・誰もやっていないことをいち早く始める。誰もが見向きもしないうちに投資する
・人に教えたいという欲求。コーチは教え、指導し、伴走できても、代わりには走れない

-目次-
1 他者に流されてはいけない
2 大好きなことにすべての情熱を注ぎなさい
3 常識はそれほど常識ではない
4 世界を自分で見ておいで
5 哲学を、つまり「考える」ということを学びなさい
6 中国の時代 中国語を身につけてほしい
7 歴史を勉強しなさい
8 汝自らを知ること
9 変化をとらえ、そして受け入れなさい
10 未来を見つめなさい
11 大衆に逆らいなさい
12 幸運の女神は努力を続けたものに微笑む