読書メモ

・「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド
(勝間 和代:著、ディスカヴァー携書  \1,000) : 2008.03.30

内容と感想:
 
著書「インディでいこう!」を新書版で出版し直した本。 著者の名前は「お金は銀行に預けるな」で初めて知ったのだが、 本書はタイトルに彼女の名前があったこともあり、たまたま手に取った。 元々は20代から30代の女性に向けて書かれた本だそうで、実際、内容はその通りの内容になっている。 読みやすく、あっという間に読めるだろう(千円は高い)。
 著者が言う「インディペンデントな生き方」とは「自立」と言い換えることができる。 それは「精神的にも経済的にも周りに依存しない生き方」だと言っている。 そのために丈夫な心を作り、学び続ける力をつける必要があるとしている。 「丈夫な心」がインディになるための基礎、土台とすれば、 その上にスキルという家を建てねばならない、学び続けなければいけない。
 本書では自立した人を「インディ」、その反対を「ウェンディ」(ピーターパンのヒロイン。大人になりたくない)と呼んでいる。 これまでの社会はウェンディな女性を必要とし、認めてきた。歌や雑誌などもウェンディ的な生き方を美化するものばかり、という。 そうかも知れない。実際にこれまでは会社や夫の補助的な役割としての女性が多かった。 しかし世の中が変化し、社会全体として補助的な役割は少なくなってきた、ウェンディ(な女性)を養いきれなくなり、ウェンディの居場所が狭くなってきた。 女性は自立するかどうか選択を迫られているのだ。これには大きな意識改革が必要となるだろう。
 現在の学校教育がどうなっているか分からないが、家庭教育も含め、子供の頃から女性に対しウェンディな生き方を押し付けてきたのではないか? 古い価値観は根強いものがある。男女を問わず無意識にそれを肯定するような言動になり、それがあるときは女性を傷つけ、無力感を引き起こし、諦めともなったことだろう。
 団塊世代の大量退職、少子高齢化社会の突入もあり、人手不足が懸念され、労働力としての女性の活躍が期待されている。 本書は女性向けに書かれた本だが、女性ならではの武器や強みを活かした社会進出を後押ししようとしているわけではない。 テーマは「何ものにも依存しない」ことであるから、本書が説くことは性別を問わない普遍性がある。 当然、会社員なら会社にも依存してはいけない。近年、ビジネス環境は厳しく、激しく変化し、突然会社がなくなることもある。 会社から放り出されてあたふたしないためにも、依存心を捨て、会社に対してニュートラルでいられるようなスキルを身につけ、 そのスキルも常にブラッシュアップしていかねばならない。そうした心構えや実践のノウハウが書かれている。

○印象的な言葉
・Giveの5乗:知恵や体験は人と共有すればするほど、その成果が大きくなって還ってくる
・他人の評価に左右されない。楽しく、しなやかに生き抜く
・川本裕子:著者が尊敬する先輩、ロールモデル
・若さや美しさは生殖機能の高さの表れ。人はこれに無条件に魅かれてしまう
・(上司の顔でなく)お客の顔を見て仕事をしろ
・問題を要素分解し、わかりやすく再構築する
・インディ:女性であることを売りにするのでなく、男性と同化するわけでもなく、第三の道を行く
・他人に対して良いものを与える。周りもどんどん助けてくれるようになる
・記憶は脳ではなく、身体全体で行なわれている
・自分が不利になると思われると過剰に反応。女性に多い
・世の中の仕組みをすべて公平にするには大きなコストがかかる。スムーズに進むためにはある程度、公正さが犠牲になることもある
・笑顔、楽しそう
・アサーティブ(assertive)な振る舞い:自分も相手も大事にする技術。仕事も自分の予定も大事。互いのため。うまく自分を表現することで周りと調和する。
・上昇気流への乗り方
・セレンディピティ:思わぬものを偶然に発見する能力、幸運を招き寄せる力
・頑張りすぎない:仕事そのものを減らせないか、必要な人員は十分か、工夫はできないかを考える。頑張っている自分に酔わない。 頑張り続けないといけない状況がおかしい。
・スキル:訓練や経験からしか得られないもの。身体で覚える。力が付くと他人に対して余裕ができ、優しく振舞えるようになる
・メンター:数年先輩くらいが目線も近くてよい
・コミュニティ・ラーニング:仲間と一緒に色々話をしながら試行錯誤で学んでいく。同じくらいの力や経験を持つもの同士が協力し、一緒に知恵を共有していく
・過度のOA化や電子メールがなぜか仕事の効率を下げる
・英語がわかると日本語だけの市場から一気に何十倍にも市場が広がる。ほぼ全世界の情報やコミュニケーションに触れられるようになる
・誰よりも上手、誰にも負けない、天下一品、得意
・相手の独立性や考え方を尊重する
・日本笑い学会。笑いの効用。笑顔コンサルタント。笑顔の技術
・メラビアンの法則:人間は聴覚情報や言語情報(言葉そのもの)よりも視覚情報に影響される
・ブログに成果をみんなに披露
・伸びる人と伸びない人との差は行動力の差

-目次-
第1章 インディになりませんか?
第2章 それでもウェンディのほうがいいですか?
第3章 じょうぶな心で土台を作ろう
第4章 学び続ける力でスキルを磨こう
第5章 いい男を見分けて選ぼう
第6章 明日から始める六つの約束