読書メモ
・「食い逃げされてもバイトは雇うな 〜禁じられた数字 (上) 」
(山田 真哉:著、光文社新書 \700) : 2007.06.23
内容と感想:
「さおだけ屋は・・・」がベストセラーになった著者の新刊。
読者に「数字がうまくなる」ことを目指して書かれた本。数字がうまくなると感情に流されず、冷静な判断ができるようになる。
正しい訓練さえすれば数字は誰でもうまくなる、と言う。好き嫌いではなく単に技術的な(テクニックの)問題だから。
数字を意識できるようになれば、これまで見えなかったものが見えてくる、数字が新たな価値を生む。
また、数字を使いこなせればインパクトや説得力のある文章が書けるようにもなり、ビジネスにも活かせる。
序章では数字の4つのルール(というか数字がもつ力、働き、役割、特徴)を挙げている。それは「順序がある」「単位で意味を固定できる」「価値の表現」「変化しない」。
第1章では数字を表現手段として効果的に使うための3つの技法「決め付け」「常識破り」「ざっくり」を挙げて、その効果について述べている。
第2章では「言い換え」「割り算」「単位変換」を使った効果的な表現方法を説明している。
ここまでは本のタイトルや、商品のキャッチコピーなどを例に挙げて、広告や宣伝に応用が効きそうな数字の使い方が学べるだろう。
第3章は人の関心を引く本書のタイトルにもなっている言葉がテーマ。数字には力があるがゆえに、惑わされることもある。
それを防ぐには数字から感情を排除する会計的思考が必要になる。なぜバイトは雇ってはいけないか、その解答は本章で。
第4章は株式投資で銘柄選択の参考になる話。決算書によるいい企業の見分け方を学ぶことが出来る。
興味を持たせる書き方がされ全体的に読みやすい。短時間で読め、数字や会計に関心を持てるようになるだろう。
○印象的な言葉
・数字で考える癖をつける、数字を意識する
・数字の暴力性:絶対的であるがゆえに、副作用がある。人を傷つけることもある
・(数字を使った)言い換えの上手さ
・ランチェスター戦略:戦争の法則。弱者は一点集中しかない
・大きな金額を前にすると、人の金銭感覚はマヒしがち
・大きな金額のものほど節約効果は大きい
・ギャンブルは誰かが勝てば誰かが負ける。株式投資は全員が勝つ、もしくは全員が負けることもある
・分散投資では損失も利益も分散する
・新しいビジネスにしろ研究にしろ、誰からリスクを取って挑戦しなければ社会は前に進まない
・売上高は会社の規模を表す数字に過ぎない。実力を見るには当期純利益(最終利益)。更に利益率で仕事の効率が見える
・利益率0.25%などという数字は会計操作でどうにでもなる。1%を切った会社は要注意。
・不確定な世界であればあるほど、人は法則を求めたがる
-目次-
はじめに 数字は、99%の意識と1%の知識
イントロダクション 「Web2.0」『ゲド戦記』がすごい本当の理由
第1章 今日は渋谷で6時53分
第2章 タウリン1000ミリグラムは1グラム
第3章 食い逃げされてもバイトは雇うな
第4章 決算書の見方はトランプと同じ
「あとがき」というか「なかがき」というか解説
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