読書メモ
・「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 〜身近な疑問からはじめる会計学」
(山田真哉:著、光文社新書 \700) : 2006.04.01
内容と感想:
意表を突く題名でベストセラーになった本。売れたのは題名のせいだけではないだろう。
プロローグで書いているように、世の中に数ある”やさしい”、”よくわかる”、”簡単”などを謳った会計の入門書が
決して読者にはやさしくも簡単でもなかったことだ。そこにあえてチャレンジし、「魅力的で退屈にならない教科書を作ってみようと思った」そうである。
その狙いが成功したようである。数多くの会計の落伍者が飛びついたのではないか。また分かりやすいと評判にもなったのではないか。
本書は7つのエピソードからなる。日常の気になる疑問から入り、普段でも役立つ知識(損得の判断、将来設計など)も取り入れて、会計をより身近に感じられるような工夫がされている。
各エピソードの終わりには”まとめ”のページがある。
著者は会計を知ることで「新しい視点・考え方」や「数字のセンス」が身につくと言っている。少しなりともビジネスに関わるものとしては最低限の会計の知識は知っていて損はないだろう。
題にもなっている「さおだけ屋が潰れない謎」、「ベッドタウンに高級フランス料理店がある謎」、「在庫だらけの自然食品の謎」、
「割り勘でいつも支払い役の人がクレジットカードを使う謎」、「50人に一人タダの謎」など我々も日常目にする謎、カラクリが明らかにされ、
一般の人の誰もが興味を持って読み進めることが出来るだろう。個人的には会計そのものよりも、初めから儲けのカラクリ的な部分の方に興味があった。
○ポイント
・会計が分かれば、経済が分かる、数字に強くなる
・本業があるから副業が成り立つ。相乗効果
・現金商売は資金ショートの危険性が少ない
・会社の資本金は会社の規模を示す目安に過ぎない。
・貸借対照表で未来を見る、損益計算書で今を見る
・根拠が大してなくても数字を使って説明すると説得力が増す
・ポイントの絞り方:重要度が大きいものに絞る
・会計は苦手でも押さえるべき数字は押さえておく
・ビジネスパーソンに欠かせない知識:会計学、経営学、統計学
-目次-
1 さおだけ屋はなぜ潰れないのか? ―利益の出し方
2 ベッドタウンに高級フランス料理店の謎 ―連結経営
3 在庫だらけの自然食品店 ―在庫と資金繰り
4 完売したのに怒られた! ―機会損失と決算書
5 トップを逃して満足するギャンブラー ―回転率
6 あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか? ―キャッシュ・フロー
7 数字に弱くても「数字のセンス」があればいい ―数字のセンス
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