読書メモ
・「夜回り先生」
(水谷 修 :著、サンクチュアリ出版 \1,400) : 2007.05.03
内容と感想:
前回読んだ「夜回り先生と夜眠れない子どもたち」と装丁も構成もほぼ同じ。
本書では著者が夜回りを始めた理由も書かれていて、そこに著者自身の子供の頃の体験も大きく影響していることを知った。
母子家庭で一時は母親とも暮らせない時期もあった。大学生時代は荒れていて、ギャンブルで借金をし、夜の街で働いたりもした。
彼が夜の街に出かけていくのは夜の街へ追いやられた子供たちを救う、というよりも彼らとの出会いを求め、
ただ単純に彼らのそばにいたいから、と言う。夜回りによって救われたのは自分自身だとも言っている。
子供たちの姿に自分自身を重ねて見てしまうのだろう。黙って放って置けないのだろう。普通の人なら係わり合いたくない、と目を逸らすことも。
そんな彼が「夜回り先生」と言われるのも教師だからだが、彼自身もいじめをしたこともあると告白もしている。教師という存在も嫌いだっとも書いている。
そんな彼が教師になったのは彼の母親が教師であったことも影響しているのだろう。
彼が教師になり最初に赴任したのは養護学校だった。その後、受験校へ転勤となる。そこは勉強を教えることだけに専念できる場所だった。
しかしその後、わざわざ自ら夜間高校へ転勤を志願した。そのきっかけは夜間高校で教師をしていた友人との会話にあった。
「腐った生徒にいい教育は出来ない」と言った友人に彼はキレたそうだ。それなら自分がやる、と考えたようだ。これが大きな転機となった。
そして彼の夜回りは始まった。それが天命、自分の使命だと感じたのだろうか?
○印象的な言葉
・昨日までのことはいい、死ぬのはダメ
・夜の街は子供を食い物にしようとする悪意にまみれている。人が人をだまし、食い物にする汚い世界
・最も死に近い教師
・絶対に生徒を叱ることができない
・大人のせい、子供は被害者。大人の都合で不幸を強いられている。不良のレッテルを貼り、夜の街へ追い出そうとする大人
・みんな弱い、みんなに認められたい、愛に飢えている
・私は大人になり切れない大人
・退薬症状
・ひきこもりの子供が抱える心の病は多種多様。当人すら理由が分かっていない場合も多い。自分で自分なりに答えを見つける必要がある。
・子供と同じ目線で接することができなければ教育者の資格はない
・子供はよく失敗するが、それを許せない大人が多い
-目次-
夜回り水谷
闘いの出発点
傷つけられた少女
哀しい成人式
償いきれない過ち
生い立ち
ケンジ
貧しさ
中国から来た少女
姉妹〔ほか〕
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