読書メモ
・「やる気を引き出す シンプルなしかけ」
(白潟 敏朗 :著、日本実業出版社 \1,300) : 2007.01.13
内容と感想:
「上司のすごいしかけ」の著者。
前作の”しかけ”は「社員をやる気にさせる20のシンプルしかけ」からなっていた。
今回のしかけも、社員をやる気にさせようという点では基本は同じ。視点が若干違うだけで、ほとんど前作の焼き直しとも言えるが・・。
前作同様「かんたん実行」、「ばつぐん効果」、「らくらく継続」の3つのキーワードからなる。
従来の年功主義の人事評価制度や賃金制度では生き残れないと、成果主義を導入しようとしている企業が増えている。
しかし単に年功序列式の定期昇給を止めたいという目的だけで人事制度をいじるのは問題があると指摘する。
いきなり制度にメスを入れることは劇薬になる恐れがあると言う。
成果主義によって結果的に社員の不満が高まる(勝ち負けがはっきりする、職場の和が乱れる)、全社員が納得できる成果の定義が難しい、など。
本書では制度見直しの前にできることがあるとし、その「すごいしかけ」を紹介している。
まず経営者なら真の悩みをきちんと把握した上で、本書を参考に制度改定の前にやれることがないか考え、
試した上で制度をどうするか慎重に検討するのがよいかも知れない。
第2章から第5章の見出しにあるような悩み・要求に対して、著者が提唱する「会社が変わる18のシンプルしかけ」が
解決のヒントとなるだろう。
いずれもシンプルですぐにでも実行できそうなものばかり。
仕掛けそのものが簡単であるから、その説明も理解しやすく一気に読める。
先ほど、「前作の焼き直し」と書いてしまったが、目新しいことが全くないわけではない。
ES(社員満足度)アンケート、人財シート、人事評価シート、村のオキテ遵守評価シート、シンプル・マトリクスなど
新たなツールも紹介されている。
私も会社の期初の目標設定や中間考課、期末の考課時期になると悩みが増える。
目標設定は難しいし、他人を評価するのも難しい。こんなんでいいのか?と思いながらもテキトーにやって来てしまっているのが実状。
そういう点で本書からは、いくつもヒントをいただいた。
○印象的な言葉
・人は金のために働くにあらず
・社内の活性化のポイントは会話にあり
・全ての社員を喜ばせることは不可能
・ハーズバーグの理論:やる気を増大させる動機づけ要因と、やる気をなくす衛生要因。待遇をよくしてもマイナス状態のやる気はゼロ以上には押し上げられない。
プラスに押し上げるには動機づけが大事。動機づけ要因には人事評価や賃金制度は含まれていない。
・できる上司になる方法:「なるほど理解」「おもわず失敗」「かならず反省」
・社員の数が増えるごとに会話が減る→他人がどんな仕事をしているか分からない→自己中心的に成る→自分のやりやすいように仕事をする→他人を批判
・会議で「私の自慢・想い」コーナーを
・人事評価への不満:不公平な評価基準、不公平な評価項目、評価者の低い評価能力
・人事評価の誤差:自己評価と上司評価との間の誤差、評価者間の誤差
・給与に差を付けたいだけなら5段階評価を3段階へ(上げる/現状維持/下げる)。
・売上不振の原因ほとんどは人事制度には無関係
・目標の達成度での評価の問題点:達成しやすい目標を設定したくなる(チャレンジしなくなる)、短期志向になる
・成果の評価と能力の評価とのバランスが大事
・勝ち負けがつくのは会社だけ、人間に勝ち負けはない
-目次-
プロローグ 会社の勘違いが社員のやる気を奪う!
第1章 いきなり人事評価・賃金制度を見直してもうまくいかない
第2章 社員をやる気にしたい
第3章 社内を活性化したい
第4章 人事評価の納得感を高めたい
第5章 人事制度を変えて売り上げを上げたい
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