読書メモ

・「上司のすごいしかけ」
（白潟 敏朗 ：著、中経出版 　\1,300） : 2006.07.23

内容と感想：
　上司の”すごいしかけ”とはどんな仕掛けか？それは「社員をやる気にさせる20のシンプルしかけ」からなる。 著者は監査法人トーマツが母体の経営コンサルティングを行っているトーマツイノベーション社の人。
　そのシンプルな仕掛けだが「かんたん実行」、「ばつぐん効果」、「らくらく継続」の３つのキーワードからなる。 これはその仕掛けが本当に効果があるかの判断基準ともなる。あまり難しい仕掛けでは続かない。だから絶大な効果があると謳う。
　本書では全５章で「20のシンプルしかけ」の詳細を解説しているが、いずれもシンプルですぐにでも実行できそうなものばかり。 仕掛けそのものが簡単であるから、その説明も理解しやすく一気に読める。 どんな会社なら社員がやる気がパワーアップするのか？これも実にシンプルなモデルがある。 やりたいことがやれ、うまくいけば誉められて、成長を実感でき、尊敬できる上司や社長がいて、社内がいつも明るく和気藹々と活性化している。 ありそうでない。出来そうで出来ない、こんな会社。理想だが出来るだけその理想に近づけていければよい。
　第1章で提案している「やりたいことアンケート」、第3章の「パワーアップシート」、第5章の「ナンバーワン社員シート」 のテンプレートも付録に付いていて、すぐにでも始められるキットになっている。 「やりたいことアンケート」では会社がやるべき事と社員がやりたい事のマッチングが出来る仕掛け。これでやりたい仕事が 出来るような要員配置にしていこうというもの。 「パワーアップシート」は形骸化した目標管理制度を、目標達成を実感できるものに変える仕掛け。著者自信は日本最高級品と自負する。 目標達成の進捗をチェックする時期をちゃんと決めて、チャレンジャー（部下）とコーチ（上司）がこのシートに 従ってPDCAのサイクルを回していく。チェックのたびに達成するための具体的な対策を書き込み、次回チェックする。 これが紙に残ることで資産になっていく。慣れればコーチなしで自分一人で目標管理できていくのだ。 「ナンバーワン社員シート」も社員を人事評価するのに使うもので、よく「360度評価」とか呼ばれるものに近い。全員が全員を評価する。 ビジネスに直結しなくても縁の下の力持ち的な社員の活性化にも利用しようというもの。給与で報いられなくても「みんパチ」（みんなでパチパチ表彰）で 誉めてあげるのだ。これも著者は「究極の大発明品」と自画自賛。
　これからの日本は「しかけ化」、この「シンプルしかけ」で日本は変わる！とメッセージはシンプルで力強い。

○印象的な言葉
・日本型の人事システムの本質は次の仕事の内容で報いる
・モチベーション・クリエーター（マネージャー）といわれる上司の存在
・５人の凡人が１人の天才を負かす
・お客さんの喜ぶ声が日本を変える
・被害妄想族、認められていないんじゃないか症候群　→周りの人に認められたい
・食事は心を落ち着かせ、ほっとして、喋りやすくなる

-目次-
第1章 「やりたいことができる」
第2章 「認めてほめる
第3章 「仕事を通じて成長させる」
第4章 「尊敬できる上司」
第5章 「社内を活性化」