読書メモ

・「採用の超プロが教えるできる人できない人
(安田 佳生:著、サンマーク出版 \1,300) : 2006.7.01

内容と感想:
 
著者の名は先に読んだ「千円札は拾うな。」で初めて知ったのだが、 本書は題名でも分かるように採用コンサルティングを営む著者ならではの人材論である。 経営者や採用担当者には是非目を通してもらいたい(特に第3章)。また、学生や既に働いている人も「できる人」とはどういう人か確認できるだろう。
 今年は景気回復の兆しが見え、各社が新卒採用に積極的になっている。 久々に売り手市場なんてことも言われている。そうなると無名な中小企業の新卒採用には不利になってくる。 だからこそよい人材、「できる人」を採用するためには戦術が必要だ。
 資源の少ない日本では人材こそが資源、財産である。少子高齢化が進み人口も減り、 国力の低下が心配されるが、優秀な人材が多ければ国力は保っていけるだろう。 これは企業にも言えることで人材育成に力を入れるべきである。でなければ企業は生き残れないだろう。 「会社は株主のものだ」と言う前に社員のもの、と言えない経営者は「できる人」を流出させてしまうだろう。
 ところで株主総会シーズンだが先日、TVのインタビューで「従業員は会社の駒である」と平気な顔で言っている個人株主がいたが、 実に腹立たしく不快に感じた。個人投資家急増の悪影響でもある。 そういえば松下幸之助は松下電器は電気製品を作る以前に、人を作っている会社だと言っていた。

○印象的な言葉
・できる人が増えれば人件費が増えるのは当然であり、喜ぶべきことである
・目標設定は実力よりやや上を(20%上くらい)
・入社後の研修や教育にお金をかけるより、採用にかけるほうが効率がよい
・いい人材が会社を辞めることは滅多にない。残っている人のほうが圧倒的にレベルが高い。
・できない経営者が増えている。社長が旧態依然としている
・企業がすべきことは採用力を高めること。自社の魅力を高め、採用テクニックを磨く
・できる人が集まる環境:よい企業風土、教育制度、評価制度、人材配置
・よい習慣を身に付けている
・少子化は自分だけが幸せになることが判断基準になっている悲しい現象
・政治の良し悪しは国民のレベルで決まる
・採用面接は営業の第一線で活躍する人物がやるのがよい
・ビジネスマンに必要な素質:素頭のよさ、素直さ、エネルギー量。これらは訓練でよくなったりしない
・同時にいくつものことを考える。即処理を習慣づけ、その場で答えを出す
・プロセス重視:結果は別として全力でやったなら満足できる
・主導権を握るには相手により大きなメリットを与えること

-目次-
第1章 「できる人」「できない人」にまつわるカン違い
第2章 これが「できる人」の本当の基準
第3章 この秘策で「できる人」をひきつけろ
第4章 「できる人」が仕事を変える!会社を変える!