読書メモ
・「千円札は拾うな。」
(安田 佳生:著、サンマーク出版 \1,200) : 2006.05.20
内容と感想:
目次を見れば分かるように「常識を捨てよ」というのがテーマ。
成長するためには変化が必要であり、変化のためには何かを捨てなければならない。
それが現在の常識や価値観だったりする。題名の「千円札は拾うな」というのは落ちている千円札よりも、
その横に落ちているもっと価値のあるものに気付け、と言っている。どこにでも宝が落ちていると著者は言う。
それは日常の中に溶け込んだ「価値のある情報」のことである。その存在に気付くのが大変なのだが・・・。
1章から3章では時間、お金、人を見る目に関する常識の捨て方を説いている。
そこに書かれていることは見出しだけを見ると一見、どれも非常識なことばかりである。例えば「晴れた日にこそ傘をさす」とか「似合うスーツは選んではいけない」など。
著者は最初に始めた会社が危機的なときに、それまで信じてきたやり方や実績、プライドを捨てることで成長できたと言う。
一気に読めるボリュームで読みやすい。最後のページの「逃げずにリスクに立ち向かい、すばやい決断を下す。それが最大のリスクヘッジ」というのは
いい言葉だ。常に頭の片隅置いておき、どんな場面であっても思い浮かぶようにしたらよいだろう。面倒くさいことや、嫌なことは避けたい、先送りしたい、
と思うものだが、決断が遅くてリスクが拡大するよりは即決、即行動である。
そういえば先日TVで見た「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にゲスト出演していた渡辺美樹氏(ワタミフードサービス)
もこれと似たようなことを言っていた。自分は悩みなんかないんだ、と。悩まないように全て手は打っている、と。不安になったり悩んでいる時間があったら、
それらの原因を一つ一つ潰していくべきだ、といったようなことを実に爽やかに明瞭に話していたのが印象的であった。
○印象的な言葉
・週休二日になったのは最近のこと。一日休みが増えても日本経済は破綻しなかった。
・優秀な人には優秀な人にしかできない仕事をやらせる
・昇進などキャリアアップで立場が変わるとき、そのたびにリセットしないとその役職にふさわしい成長は見込めない
・常識と非常識の周りには、どちらにも属さない「常識外」という未知の可能性が満ち溢れている
・お金の使い方は「効果の高さ」で決める
・投資先として確実なのは人材、情報、ブランド
・アメリカの食事が世界一まずいのは価値の判断基準が文化ではなく効率であるから
・生きていく上で必要なのはお金そのものではなく、必要なお金を作り出せる能力を身につけること。そのためにお金を使う。
・男は頑なで変化しにくいが、女は「変化する力」をもつ
・日本人はこだわりや執着が少ない。世界で最も変化に強い民族かもしれない
・判断で悩んでも、決断では悩むな。決断には即決が大事。
・変化に対応しやすい小さな会社のほうが安定性は高い。ターゲットを限定し、付加価値で勝負。
・経営には「売り上げ設計図」が必要である
-目次-
1章 成果を生み出す「時間」のとらえ方 ―時間の常識はゴミ箱へ
2章 利益をもたらす「お金」の上手な使い方 ―お金の常識はゴミ箱へ
3章 大成する「いい男」「いい人材」の見抜き方 ―人を見る目の常識はゴミ箱へ
4章 トレンドを捨て、「本質」を貫く考え方 ―常識を捨てる勇気ある決断
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