読書メモ

・「渡邉美樹の夢に日付を! 〜夢実現の手帳術
(渡邉美樹:著、あさ出版  \1,400) : 2006.08.15

内容と感想:
 
著者の渡邉美樹氏(ワタミ社長)は今更で恐縮だが、最近注目している経営者である。 TV番組の影響というと恥ずかしいが、先日見た「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にゲスト出演していたときの印象が強烈であった。 その中で次のようなことを言っていた。自分は悩みなんかないんだ。悩まないように全て手は打っている、と。 不安になったり悩んでいる時間があったら、それらの原因を一つ一つ潰していくべきだ、といったようなことを実に爽やかに明瞭に話していたのだ。
 調べてみると既に著作も多数あり、社員へのメッセージ集であったり、親子の話であったりなどテーマも多彩だ。 本書はそれらの中でも副題にあるように「手帳術」というノウハウが明確なテーマである。 どうやって著者は起業し、東証一部上場を果たすまでの企業に育て上げたか、その秘密の一つが手帳であった。 表紙の写真にあるように、著者の手帳は紙面が赤鉛筆で塗りつぶされて真っ赤になっている。 著者によれば目標や計画を達成した後は、そうやって赤鉛筆で消し込んでいくそうだ。
 「手帳術」といえば「一冊の手帳で夢は必ずかなう」(熊谷正寿:著)があった。 熊谷氏も自らの手帳術をもとに手帳をプロデュースしていたが、渡邉氏も同じように手帳を作り、社員全員にも使わせているそうである。 その手帳だが、スケジュール帳、夢カード、日記から構成されている。
 本書は単なるノウハウ本ではないと、著者も「はじめに」で言っている。手帳というツールを通して生き方の提案をするつもりで書いたそうである。 著者が日々どんなことを考えてビジネスに取り組んでいるかも知ることが出来て非常に興味深かった。 特に驚いたのは氏は常に仕事のことを考えているそうだ。オンとオフと分けることがなく、常にオンなのだそうだ。 表現に誇張はあるかも知れないが、オフにすることで問題意識が一気に低下すると指摘している。常にオンでいられるかどうかで ビジネスパーソンとして大きな差が生じるとも言っている。凄い人だ。
 著者は教育にも深い関心を持っていて学校経営にも乗り出している。日本には夢(自己実現、他人への愛)を育む教育が必要だと考えている。 「おわりに」では「地球上のみんなが勉強するたった一つの教科書を作りたい」という夢を語っている。正しいことはどんな国・社会にも共通しているはずだと考え、 その教科書で学ぶことで世界が平和になるはずだという発想である。しかしその夢にはまだ(達成日の)日付は入れられていないそうだ。氏の夢は大きい。

○印象的な言葉
・人は人としてもって生まれた美しい資質を高めるために生まれてきた
・恐るべしは「亀の歩み」
・過程のなかにある結果の連続。プロセスが大事
・やりたいことが見つからないなら、まずやりたいことを見つける日を計画する
・夢の実現に必要なの6つのキーワード:情熱、勇気、誠実、継続、想像力、友情
・人生の6つの柱:仕事、家庭、教養、財産、趣味、健康
・「緊急で大切なこと」より「緊急じゃないが大切なこと」を最優先にする
・究極の夢は「人間性を高めること」。これに終わりはない
・財産に関する究極の目標は「お金を意識しない人生を送ること」
・優先順位が低いものはばっさり切り捨てる勇気
・利他・慈悲・共生は人類の魂の本来の性格(ダライ・ラマ14世)
・欲は発展の原動力だが、欲をコントロールする力を自ら持つことが大切
・理屈で考えたことは、理屈で変えてしまえる、という問題
・目標は20%増しで。毎日を120%で生き抜く。仕事のキャパシティも広がる

-目次-
1 夢は日付を入れてこそ叶う
2 六本の柱で夢を描く
3 夢を行動に変え
4 達成した姿を繰り返しイメージする
5 実践 手帳の使い方