読書メモ
・「新世代ビジネス、知っておきたい60ぐらいの心得」
(成毛 眞:著、文春ネスコ \1,500) : 2006.06.24
内容と感想:
先に読んだ「成毛式実践マーケティング塾」よりも前に書かれたビジネス書。
著者がマイクロソフト日本法人の社長を辞めてすぐに出した本である(2000年)。6年も前に書かれた本だが内容は
全然古くない。現在を予測しているような内容もある。
彼はすぐに投資コンサルティング会社を設立したのだが、本人は会社を大きくするつもりも、上場するつもりもないらしい。
本書の中でも書いているがアメーバ型中小企業を目指しているようだ。要するに変化に適応するための組織である。
スリムで柔軟な組織のほうが大企業や多角化の弊害を回避できる。
中でも興味深かったのは株式上場のデメリット。確かにこれに気付いて上場を廃止する企業が出てきている。今後も増えるのかも知れない。
第6章から第8章では外資系企業の元社長ならではのアメリカ観が語られ興味深い。アメリカの異質性がいずれ世界から孤立させることに
なるのではと不安視している。世界の保安官的な役割から降りてしまったら世界は混乱するだろうと言う。
そんなアメリカを軌道修正させるためにはアメリカ景気が失速して、その反省の中で自ら意識改革するか、
別の国が対抗できるような経済的成果を達成することで意識改革を促すことが必要、という考えも示している。
○印象的な言葉
・学者のほうがよっぽどサラリーマンだ
・人生逆張り、アンチ・サラリーマン、アマノジャク
・事なかれ主義のサラリーマン経営者が多い
・業務代行業にアウトソースして超スリム経営が可能な時代。専門業務は専門企業に任せる
・企業ユニット化、企業間分業化でコア・コンピタンスに資源を集中
・組織の中間層レベルに情報が集中することで、彼らがデシジョン・メイクになった。フラットな組織が有効
・アメリカにはゼネコンがない
・自動車産業は広範な産業への波及効果がある。外車を売っても売り上げの半分相当が国内に落ちる
・その上で動くアプリケーションに価値がある分野での共通規格は強力で、これを押さえれば独占できる
・上場しないのも経営方針のひとつ。利益分配方法の意識的な選択。上場にもコストがかかる
・初期投資がかさんでいる新興企業ではPERが80というのも正常
・スタートアップ型ベンチャー企業はアイデア重視、アーリーステージ型企業は経営者重視。
・ベンチャー企業トップは外交的、楽観的で、ありきたりの価値観に追従しないこと
・技術バカの会社はしばしばマーケットを見誤る。理系特有の傲慢さ、ユーザーニーズを無視
・日本人には教養が圧倒的に欠けている
・不平等を認識したところから本当の教育が始まる
・理想的な経営者の条件:集中力、子供っぽさ、ネアカ
・暗黙知の表出、共有には人を回すことが有効
-目次-
第1章 何のための会社か
第2章 大企業がなくなる!?
第3章 何でもできる会社が危ない!
第4章 上場企業はみんな一流?
第5章 ネットバブル崩壊のウソ
第6章 アメリカ企業の意外な現実
第7章 フェアじゃないアメリカ
第8章 アメリカを見習うな!
第9章 ITで学校を救え!
第10章 新世代ビジネスマンの心得
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