読書メモ

・「SEのフシギな生態
(きたみりゅうじ:著、\1,480、技術評論社) : 2004.01.08

内容と感想:
 
副題の「失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条」にあるように、著者を初めとするSE(または経験者)の失敗談からシステム開発を学ぼうという目的で書かれた本。SE(システム・エンジニア)を目指す方がSEとはどんな仕事か知りたい、システム開発の仕事で行き詰まったと感じている人が自分を見直す、そんな人々をアドバイス。著者自筆の4コマ漫画が各トピックを飾る。

-目次-
1.要求定義 編
2.設計 編
3.製造 編
4.試験 編
5.納品 編
6.プロジェクト管理 編
7.転職 編
8.実用的・・・かもしれない仕事術

 SEをある程度経験したことある人なら誰もが経験したり感じたりしたりすることが多く取り上げられていて「あるある、そうそう」と相槌を打ちながら読んでしまうことだろう。最近、SEを取り上げた本が多く出版されているように思うが、結局行き着くところ、「技術だけでは駄目なんだよ、人間力が大事なんだよ」と言う事になる。技術系の人間は技術だけ知っていればいいだろうと、自分で線を引いてしまい勝ち。自ら世界を狭めている。実際、技術力だけで食っていける人はごくわずかだろう。
 最近はインド・中国を初め、日本人技術者よりも低いコストでソフト開発をする労働力が得られる時代。日本の技術力・技術者不足に伴い、仕事を海外へ流してコストを抑制しようという流れは加速していくのかも知れない。そうなると日本人SEはそういう外国人技術者と仕事をしなければいけなくなり、異文化とコミュニケーションしていかなければいけなくもなる。単なる語学学習に留まらず相手の文化を理解したり、本来技術とは離れたことも学んでいかなくてはならなかったりして、ますます大変な時代だ。これを大変だと取るか、チャンスと捉えるか?SEはシステム開発だけで満足してはならず、人間としての成長も考えねば・・。
 最終章でなるほどと思った文章がある。作業を効率化するため、人間の仕事を楽にするためにコンピュータを使うのだから「(SE自身の仕事を含めて)楽するために労を惜しまず努力する。そんな矛盾したナマケモノが業界に向いた人」というもの。忙しい忙しいとばかり言わないで無駄な作業はないか、効率化できないか、自身、いろいろ見直す必要があると感じる今日この頃。時間は無限ではない。人生は長いようで長くない。

更新日: 04/01/18