読書メモ
・「働きざかりの心理学」
(河合隼雄:著、\400、新潮文庫) : 2004.02.21
内容と感想:
「働きざかり」とは一般的に中年の世代を指すと思われる。青年期は知識やエネルギーを蓄え、中年ころに力が発揮され、一家の大黒柱としてバリバリ働く、というのが働きざかりのイメージである。あとがきによると近年は「中年の危機」だという。「青少年問題」、「老年問題」だけでなく、中間の世代も多くの問題を抱えている。不況やリストラ等で近年、中年男性の自殺が増えているのはよく知られている。職場で家庭で、地域で様々な問題を抱える世代。
本書の原著は20年以上も前に刊行されたものだが、内容的には全然古くないし、現在の日本の状況も心理学的には当時と大差ないということだ。言い換えれば何も改善されていない。あとがきで著者は働きざかりはただ働いているだけではいけない、考え、学ぶことも必要だ、と言っている。
(心理学を学ぶ者や研究する者にとっては、)職場での人間関係、夫婦の関係、親子の関係など、日常茶飯事のなかに多くの心理学の課題が転がっているとも言っている。心理学者から見れば、日常生活から経済活動など、全てのものに心理学を当てはめようとするのも、専門家の性(さが)だろうか?(特に他意はないが)
思秋期という言葉を本書で初めて知った。家族の「子供の思春期と親の思秋期は年齢的に一致することが多い」というのは面白い。その時期に家族には問題が起きやすいそうだ。
また著者は中年(壮年)というものを総合的に研究すべきで、「中年学」というものが必要だろう、とも言っている。「人間社会の一番中核となるところを、この人たちが支えている」のだから。
-目次-
第1章 働きざかりの心理学
第2章 働きざかりの親子学
第3章 働きざかりの夫婦学
第4章 働きざかりの若者学
第5章 働きざかりの社会学
更新日: 04/02/22
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