読書メモ

・「ストレス知らずの対話術 〜マッピング・コミュニケーション入門
(齋藤孝:著、\720、PHP新書) : 2004.03.05

内容と感想:
 ストレスの原因の一つにコミュニケーション不足、コミュニケーション不全があると言われる。自分をうまく表現できなかったり、言いたいことが相手に伝わらなかったり。ストレスが蓄積され、発散されないと病気にもなりかねない。コミュニケーション不全は個人の人生の損失でもあるし、業務上であれば進捗に影響するし、会社の業績にも影響しかねない。
 著者はコミュニケーションを@プライベートなもの、A半フォーマルなもの(仕事上)、Bパブリックなものと3つの領域を定義し、領域Aがストレスの温床であるとし、この領域でのコミュニケーション力の改善を本書の目的としている。改善方法として提案しているのが、マッピング・コミュニケーションである。要は紙などに短い言葉を書いて行き、それらを関連づけていき、何らかの結論にもっていこうとする。とりあえずアイデアなど、思い付くままに書き上げていき、赤青緑などで色分けしたりして重要度も区別し、それを見て更に参加者が連想を膨らませていく。ただ、箇条書きに書き並べていくのではなく、紙やホワイトボードの中心から同心円状に書いていく。一種のブレイン・ストーミングだ。
 図表や絵にすることで理解が深まることはよく分かる。似たように見えるが、マッピング・コミュニケーションの方は図表にするにはまだアイデアがまとまっていない、カオス的な状況でのコミュニケーションに適していると感じた。これを企画会議などに使うには、出席者に効果を理解してもらう必要があるかも知れないが、やってみてば誰もが面白いと感じさせるものがあるように思える。
 マッピングするにも能力が要る。第W章ではこれを鍛えるためにポジショニング力、メモ力、引用力の<三つの力>を挙げている。ポジショニングとはマッピングするときの座席のこと。
 マッピングは2人以上で行うのだが、第X章ではマッピングの応用として自分の好きなものだけを書きなぐった「偏愛マップ」なるものを勧めている。自分の興味を全て目に見える形で表現し、それを例えば飲み会などで名刺代わりに、よく知らない相手に見せることで短時間である程度自分を理解してもらえる効果がある、という。

-目次-
序章 対話上手はストレス知らず
第T章 コミュニケーションにおけるストレス
第U章 マッピングで対話上手になる
第V章 快感を感じるコミュニケーション
第W章 コミュニケーションを鍛える<三つの力>
第X章 マッピング・コミュニケーションを応用する

更新日: 04/03/07