読書メモ

・「自律神経失調症 ~ストレスを上手にコントロールする
(井出雅弘:監修、\1,200、高橋書店 ホームドクターシリーズ) : 2004.02.10

内容と感想:
 
耳にしたことはあるがよくは分からない自律神経失調症。本書を読むまで心の病である神経症や鬱病、また心身症などとの違いが分からなかった。実は読後の今もよく分からないのだが、区別は微妙なようである。症状が似ているので医師も判断を誤る場合もあるという。慎重に診断しないと本質を見逃すこともあるらしいから厄介である。読んで字の如く、自律神経の調子が狂う(バランスが乱れる)ことにより、体調が崩れると理解できる。
 心の病の場合は、身体症状があって治癒したとしても心が根本原因であるから、心の病を治す必要がある。自律神経失調症は身体症状が一次的と判断されるケースであり、精神症状の方が一次的と判断される場合は心身症と診断されるそうである。なら自律神経失調症には心理的な要素は原因ではないのか、というとそうでもないらしい。自律神経失調症には原因によって3タイプあり、体質的なもの(遺伝)、心理的なもの(性格)、ストレスによるものに分類される。やはり「病は気から」と昔から言われるように、心と体は切り離せないのだ。副題にあるように「ストレスを上手にコントロールする」必要がある。世には数多くの病気があるが、ストレスが原因とされるものは多いらしい。本書ではストレスが人間に与える影響やストレスとの付き合い方(自律神経失調症の予防)、自律神経失調症になったときの対処(治療法)などが、図表を多用して説明しており、この病気の正しい理解へと導いてくれる。

-目次-
SIDE 1 自律神経失調症って、どんな病気?
SIDE 2 自律神経失調症の症状の特徴
SIDE 3 自律神経失調症の原因
SIDE 4 病院選びと検査
SIDE 5 自律神経失調症の治療法
SIDE 6 医師のカルテから
SIDE 7 自律神経失調症を予防する

 現代はストレス社会と言われるように、ストレスがない社会はありえない。ストレス耐性を高め、ストレスに負けず、如何にストレスと付き合っていくか、社会全体として課題は大きい。人類が健康で豊かに生きていくためにも、個人レベルの理解と社会の支援がもっと必要だろう。近年、日本人の死亡原因として生活習慣病が上位を占めるらしいが、ストレスが原因の病気や自殺が上位になるようだと恐ろしいと思う。

更新日: 04/02/14