読書メモ
・「ふるさとの詩 -原田泰治の世界」
(原田泰治:著、朝日文庫 \780) : 2004.07.03
内容と感想:
本書は1982年から著者が朝日新聞「日曜版」に連載した絵と文章を文庫化したもの。確か連載中は実家で暮らしていたはずだが、実家では朝日新聞は購読していなかったから、その絵を目にすることもなかったと思う。しかし今、著者の絵を見るとなぜかどこかで見たような(デジャヴュ)気にさせられるのは、実際にどこかで目にしていたのか、彼の絵がそういう不思議な力を持っているからか?多分、どちらも正解なのかも知れない。
北は北海道から南は沖縄まで日本全国を著者が不自由な足で取材した絵とエッセイという構成。私の実家のある福井県勝山市も取り上げられていてビックリ。
先に読んだ「わたしの信州」では彼が子供の頃、10年間暮らした信州の伊賀良村(現:飯田市)の四季の風景だったが、本書では各県の懐かしい風景が描かれている。その絵の背景や土地ならではの話題が短い文で添えられていて、また楽しい。
あとがきに椋鳩十が寄せているように彼の絵に描かれる人々は「空気のように目立つこともなく生きている人たちである」。「平凡そうに見える日常の営みの中に、彼は、美を見るのである」。どの絵も美しい。描写は緻密で細部まで描き込まれている。かっちりした遠近法でもなく、建物も意図的に歪めてあって輪郭が直線的ではない。そこがホッとさせられる大きな要因でもある。
本書の絵のような風景が今後も失われることがないよう願いたいもの。実際はその多くは失われつつあるのだろう。
更新日: 04/07/11
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