読書メモ
・「質問力 〜話し上手はここがちがう」
(齋藤孝:著、 \1,200、筑摩書房) : 2003.11.22
内容と感想:
著者はベストセラー「声に出して読みたい日本語」の著作でも有名となった先生である。
日本語のよさを再確認させてくれたのも彼であるが、本書では日本語だけでなく全ての言語で必要とされるコミュニケーション能力を取り上げ、能力向上のためのヒントを提示してくれる。
人間は社会的な動物であるから世捨て人でない限りは、他人と何らかの関わりを持って生活していかねばならない。そこには色んな形のコミュニケーションが発生しては消えていくのだが、夫婦や身近な家族でない限り、阿吽の呼吸だけではコミュニケーションは上手くいかない。
本書の「質問力」とは聞きなれない言葉だが(多分、著者の造語だろう)、対話の相手から如何に有意義な情報を引き出せるかは、この能力のレベル次第であるという。
営業マンが新規に顧客を開拓していくには、如何にユーザのニーズを引き出すかが問われるだろうし、私のようなエンジニアなら顧客の要求を正確に聞き出して理解し、製品に仕上げなければならなかったりする。ここにもコミュニケーション能力が問われる。
人間同士なら話せば分かる、というけれど、実際に話してみると相手の「人となり」が分かると同時に、自分自身をも相手にさらけ出すことになる。特に初対面の相手なら質の高い会話が出来なければ、詰まらない人だと思われかねない。それだけにコミュニケーション能力が高いに越したことはない。言いたくとも黙っているのが日本人の美意識とされるが、それでは相互理解に時間がかかることもある。世はスピード時代である。
質問力をX-Y軸の2次元の座標を用いて図示したものが分かり易い。常に質問力を意識して実践していれば効果が現れるという。
第一章 「質問力」を技化する
第二章 いい質問とは何か? - 座標軸を使って
第三章 コミュニケーションの秘訣 - @沿う技
第四章 コミュニケーションの秘訣 - Aずらす技
第五章 クリエイティブな「質問力」
本書では、そういう質問力のレベルの高い対話が数多く引用されていて、素敵なコミュニケーションの形とはこういうものかと教えてくれる。他人同士が短時間で深い対話を交わすことが出来るためにも、この質問力を大いに向上させる必要があるのだと考えさせられる。
質問力はただ一方的に上手く話せればよいという、単なる話術のようなものとは違うようだ。話しが上手いといっても一方通行ではコミュニケーションにならないのだから。
この能力が高められれば仕事だけでなく色んな場面で生かされてくるだろうし(例えば女性を口説くとか・・)、会話が楽しくなるだろう。そう思わせてくれる一冊。
更新日: 03/11/24
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