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乱太郎は小さな踏み台の上に立ち、震える手でエプロンをつまみ、そろそろと持ち上げた。恥ずかしさで足が震える。
「もっとだよ。ちゃんと乱太郎のが見える様に、ね」
利吉の言葉に、羞恥で涙を浮かべて、それでもエプロンを持ち上げる。柔らかそうな肉付きの太腿はそれでも華奢で、さらに細い腰へと続いているのだ。白い肌は上気してほんのりと赤みを帯びていて、とても綺麗だった。少しづつ露になる其処には柔らかな飾り毛すら未だないのに、幼いそれは昂ぶり、蜜を零していた。
「可愛いね」
膝を付き屈み込んだ利吉が、すっかり露になったそれに口唇を近づけて、言う。初々しいピンクの先端が、利吉の息を感じてぴくりと震えた。
「下ろしちゃダメだよ。そのままで、ね」
そう、念を押して、乱太郎のものに口付ける。先端の蜜を丁寧に舌で舐め取る。ぬめりを帯びたそれは、甘く感じられた。すっぽりと口腔に含むと、乱太郎の体が震える。両手で小さなおしりを掴んで揉みしだきながら、優しく吸う。
「あっ、ああん…っ」
甘い声を上げて乱太郎が腰を引こうとするが、利吉の手がそれを許さなかった。熱く濡れた口腔の感触はそれだけで気持ち良いのに、更に柔らかな舌にねぶられ、吸いたてられては堪らない。
「やっ、そんなにしないでっ…」
泣きそうな声で乱太郎が言う。頭の芯がぼぅっとして、何も考えられなくなる。舌が動く度に、吸い上げられる度に、快楽が動き、波のようなその感覚に飲まれてしまいそうになる。熱い何かがその奥から込み上げてきて、噴き出しそうになり、乱太郎はエプロンを掴んでいた手を離し利吉にしがみ付いた。
「あぁっ、やっ、もぅ、もぅ、」
達ってしまいそうだった。けれど、それを察した利吉の指が根元を押さえ、それを阻む。
大人の自分に合わせさせるのはきついという事は解っていたけれど、そう簡単に達かれては詰まらない。
愛撫は少し緩くなり、乱太郎は漸く波を堪えた。荒い息を吐いていても、利吉は愛撫を止めてくれない。少し落ち着くと、また絶頂近くまで追い詰められる。
「利吉さ…ん」
気持ち良くって、それしか分からなくなる。焦らされて蜜を滲ませている先端がじりじりと熱く成って来る。拒むことも出来ず、乱太郎はその感覚にしがみ付いているしかないのだ。
甘く、高い声がしきりに自分を呼ぶ。それは利吉の耳を甘くする。幾度も煽られて力が入らなくなったのだろう乱太郎の足は、震えている。肩を掴んでいる手には力が入り、痛みを覚えるほどだ。そろそろ限界だと見て、利吉は根元を押さえていた指を外して吸い上げる。と、あっという間に上り詰めた。
「あぁっ…!」
小さな悲鳴とともに、熱い蜜が利吉の口腔に打ち付けられる。味も濃度も薄いそれを、咽喉を鳴らして飲み込んだ。。顔を上げると、乱太郎は目尻に涙を滲ませて荒い息を吐いていた。
「乱太郎…」
可愛くて堪らずに抱きしめる。口唇で滲んだ涙を吸い取って、頬に、額に幾つも口付けを落とした。赤くなった小さな耳朶が可愛くて、そっと噛んでみる。
「あ…」
小さな声を上げて、乱太郎が身を捩る。細い腕が一瞬、利吉の胸から逃れるようにもがいてから、しがみ付いた。ワイシャツの胸は少し冷たく、火照った肌に心地良いけれど、利吉がスーツのジャケットを脱いだだけだと言う事にまた、恥ずかしくなる。利吉の余裕を見せ付けられて居る様で。本当は、利吉だって余裕が無いのだけれど、それは乱太郎の知らない所である。
「少し、落ち着いた?」
優しく聞かれて小さく頷く。利吉は体を離して、乱太郎を踏み台に座らせると、緩めてあったネクタイを外した。ワイシャツのボタンを二つ三つ外した所で、口付ける。赤くなって困ったような顔をしている乱太郎が、あまりに可愛くて服を脱ぐ間も惜しくなってしまったから。ちゅく、と音を立てて口唇を吸うと乱太郎の腕が首に回され、しっかりとしがみ付いてくる。
「あ…、利吉さん…」
「乱太郎…」
たっぷりと口付けて。エプロンの肩紐を片方だけ落とし、胸を露にする。白い肌に桜色の小さな果実が二粒、固く熟れていた。指先でそっと転がしながら、利吉は乱太郎の肌に口付ける。滑らかな首筋も、薄い肩の丸みも、細い鎖骨の窪みも、口唇で形を確かめ、舌で味わった。薄い皮膚はすべらかで、適度な弾力があって幾ら味わっても飽きる事が無い。
優しく、きつく、肌を吸われて、乱太郎は小さな声を洩らす。利吉に触れられる度に、体が熱を帯びてゆく。胸の突起を弄られる度に、甘い、痺れた様な感じが其処から広がる。それはそのまま雄の部分をも刺激して、其処にも熱が灯る。
「あ、んんっ…」
指ではない、温かく濡れた感触を其処に感じた時、知らないうちに声が洩れて、利吉にしがみ付いていた。
「利…吉さ、ん…」
「ここ、気持ちいいの?」
聞かれて、こっくりと頷くと、ちゅっと音を立てて吸われた。舌先が蕾をつつき、優しく吸い立てる。軽く歯で挟まれて、堪らずに体を捩った。
「可愛いね。此処も、こっちも、みんな可愛いよ」
思う様弄られた乳首は痛々しい程に、赤みを増して尖っている。それを満足そうに見ながら利吉が囁き、その手が膝を割る。首筋や耳朶に優しく口付けられながら、ゆっくりと足を開かせられる。エプロンで隠れている其処を弄られて、乱太郎は声を上げた。
「やっ、あんっ」
「此処は嫌だなんて言ってないよ?」
閉じようとする足を大きく開かせ、利吉はエプロンを捲り上げた。
「ああっ」
先刻達ったばかりだというのに、乱太郎のそれは固く頭を持ち上げていた。恥ずかしさに、乱太郎は思わず腕で顔を隠した。
「ほら、触って欲しいって、涎垂らしてる」
指先が蜜に濡れた先端をそっと擦る。その刺激に、新たな蜜がじわりと滲んでくる。ちら、と舌先で蜜を拭ってから、利吉は乱太郎の膝に口付けた。円く小さな膝は太腿やふくらはぎと同じで、やはりすべすべしている。その肌の感触を楽しみながら、ゆっくりと太腿の奥の方へと口唇を滑らせた。
はじめは擽ったいだけの感覚に、少しづつ別な感覚が入り込んで来る。それは何時も乱太郎を困惑させる。その感覚から逃げたいような、もっとして欲しいような、不思議な感じなのだ。
「は…ぁ…、利吉さん…」
どうして良いのか分からず、ただ、身を捩る。何時の間にか凭れ掛かっていた流しの扉の固さに、また、恥ずかしくなる。利吉の濡れた舌が動くたびに、その感覚は強くなって行き、乱太郎は思わず腰を引いた。と、体が浮き、キッチンの冷たく固い床に横たえられていた。
「あっ…」
「逃げたらいけないって、言っただろう?どうしたいのか、ちゃんと教えてくれないと乱太郎が辛いんだよ?」
意地の悪い言葉とは裏腹に、乱太郎を見る睛は優しい。甘い陶酔を浮かべている利吉の表情に、乱太郎の背中をぞくりと何かが這い上がる。それは快楽の予感とでも言ったら良いのだろうか。
「さぁ、どうしたい?どうして欲しいのかな?」
「…利吉さんの、好きにして…」
睛を閉じて、その言葉を口にする。それがどれほどの効果を挙げるのか、乱太郎はよく知っているから。
「いい子だ」
満足そうな利吉の声が聞こえ、足が大きく開かされ、持ち上げられる。秘められた場所に冷たい空気を感じたのは一瞬で、次の瞬間には熱く濡れた感触があった。
「あんっ…」
体中の力が抜けてしまいそうな、不思議な快楽。利吉の舌は小さな蕾を擽り、細かな襞を広げるようにして奥へと入り込もうとする。
「ふっ…、んんっ…」
もじもじと腰を捩りながらも、もっとその感覚を味わいたくて自然に足は開いていく。唾液を乗せた舌で蕾の奥を擽ると、甘えた声は啜り泣くような声に変わる。其処から体が溶け出してしまいそうで、どうして良いか分からない。きつく吸われて、高い声が上がった。
「い、い。気持ち…、いいよぅ…」
小さな声が零れる。こんな場所を舐められて気持ちいいなんてどうかしている。こんないやらしい自分を見られたくないのに、利吉にもっとして欲しいのだ。相反する二つの気持ちの間で、乱太郎は何時も快楽に流されてしまう。利吉がそうしたいのだからいいのだ、と。そうして、利吉の望む言葉を、喜ぶ言葉を口にするのだ。もっと深い快楽を得る為に、利吉が好きなのだと感じる為に。
「気持ちいい…、利吉さん、もっと…」
「乱太郎…」
小さな体を快楽で一杯にして、更に自分を求めて来る、乱太郎の快楽に潤んだ声に堪らなくなる。
初めは自分を喜ばせようとして言っていたその言葉が、満更嘘でもなくなって来たのはつい最近の事だ。抱くのには幼すぎる事は分かっていたけれど、そうせずには居られなかった。乱太郎の幼い性を無理やり開かせたのは自分で、けれどそれは、とても綺麗に花開いてくれた。それが嬉しくて誇らしくて、そして切ない。
たっぷりと濡れた其処に、ゆっくりと指を入れる。びくん、と乱太郎の体が強張る。蜜に濡れた昂ぶりに口付けて気を逸らして遣りながら、そっと内側を探る。熱くて滑らかな其処は、ぴったりと指を包み込んでいて、とても利吉のものを受け入れる事など出来ないように思える。けれど、其処が驚くほど柔軟な事も、知っているのだ。
「痛い?」
「ううん、熱い…」
締め付けられて聞くと、乱太郎は首を振った。指の入っている入り口は押し開かれて変な感じがするけれど、奥のほうは痛くない。利吉の長い指が動くたびに、熱い感じが広がる。掻き混ぜられ、指が引き抜かれる時にはお腹の奥が外に引きずり出されるような、感じがする。それは不快ではなく、確かに快楽なのだ。
乱太郎の其処は、抜け出そうとする指をきつく締め付ける。ゆっくりと引き抜くと僅かに擦れたような感じがする。慣らしている内に乾いてしまう事は無いだろうが、受け入れるのが楽なのに越したことは無い。利吉は体を離し、コンロの下からオリーブオイルを取り出した。離れた利吉を不思議そうに見る乱太郎に、オイルを見せる。
「少し冷たいよ」
その意図を理解したのか、乱太郎はこくりと頷いて目を閉じた。手のひらにオイルを落として少し温め、小さな蕾に塗りつける。さらりとした唾液よりもオイルのほうが滑りが良く、利吉の指は楽に入り込む。
「あぁっ、ふぅん…」
ずるりと指の出入りする感触に甘い声が上がった。乱太郎はしきりに腰を捩り、指を締め付けてくる。快楽に蕩けた睛は潤み、空を彷徨っている。その頬に、額に、幾つも口付けを落としながら、利吉は愛撫を続けた。
幾度もオイルを塗り、固く締め付ける入り口を解す。入り口とは違い、奥のほうはすでに熱を帯び始めていた。その感触に利吉は堪らなくなる。早く、指ではなく自身の昂ぶりでそれを味わいたかった。急いてしまう欲望を押さえ、丹念に指を使う。と、不意にふわりと其処が柔らかくなった。利吉の顔が綻ぶ。
「いい?」
その言葉に、乱太郎が暈りと頷く。細い腰を捕らえ、ゆっくりと乱太郎の中に入り込む。狭い入り口に扱かれるにして中に入る。解れてはいても、元々が狭いので利吉を飲み込んだ其処はめい一杯に開かれていて、少し動いただけでも壊れてしまいそうだった。僅かに眉を顰めいてる乱太郎にそっと声を掛ける。
「痛くないかい?」
聞かれて乱太郎は首を振る。痛くは無い。ただ、一杯に押し広げられ、身体の奥まで入り込んだものに圧されて少し苦しいだけだ。
利吉は頷いて、動き始める。ゆっくりと、少しづつ出し入れする。
「あ、あぁ…っ」
身体の奥で動くものの感触に、泣き声が上がる。一杯に押し広げられた其処をそのまま揺さ振られているような感覚に、身体が熱くなる。内臓が引きずり出され、また、胃の辺りまで押し込まれるような感覚に、どうにかなってしまいそうだった。感じているのが快楽だという事も、それを感じているのが自分の身体だという事も、信じられなくて。乱太郎は利吉にしがみ付いた。
全部は入らないものの、出来るだけ奥まで自身を沈めては引き出す。熱い内壁に包まれ、扱かれるのは堪らない快楽で。動いている内に乱太郎の中が僅かに広がり、濡れた音が聞こえ始める。細い足が腰に絡められる。利吉は切れ切れの泣き声をあげている乱太郎に囁いた。
「もっと悦くなって良いんだよ?可愛い声をもっと聞かせて」
「くぅっ、あぁ…んっ」
体中が利吉で一杯で、それしか分からない。波の様に押し寄せ、自分を翻弄する快楽に流されてしまうのが怖くて利吉にしがみ付く。ゆっくりと動いていた利吉が、入り口近くを探り始めた。そこにある一点を刺激されると、体の奥から熱い何かが湧き上がってくる。
「やっ!あああっ!」
何かが来る、その瞬間は何時も怖くて、乱太郎はそれから逃げようともがいた。が、利吉は容易くその身体を押さえて、更に其処を刺激し、蜜を零している昂ぶりにも手を添えた。
「いいよ、そのまま」
そう囁いた瞬間、乱太郎の昂ぶりは弾け、其処はきつく利吉を締め付けた。乱太郎のものが手を白く汚す。その熱くぬめった感触ときつい締め付けに、利吉も乱太郎の奥深くに自身を解放した。熱いものを身体の奥に感じてか、乱太郎の身体が震え、そしてゆっくりと弛緩した。
せっかくのエプロンは二人の身体の間でくちゃくちゃになり、すっかり汚れてしまった。乱太郎はぐったりとキッチンの床に横たわっている。それも仕方の無い事で、達きはしたものの利吉のものが萎えなかったので、そのまま二回戦に縺れ込んでしまったのだ。
「乱太郎?大丈夫かい?」
続けては不味かった、と反省しながらそっと声を掛けてみるが、答えは無い。ただ、微かに首が振られただけだった。
「すまない、つい、加減が出来なかったんだ」
汗と欲情の名残で汚れてしまった身体を抱き寄せる。冷たい床の上に長く居た所為で、すっかり身体が冷えている。
「お風呂に行こう。身体がすっかり冷えてしまったし、気持ちが悪いだろう」
その言葉に、小さく頷く。乱太郎を抱き上げて利吉はバスルームに行き、お湯をためている間にシャワーを浴びた。身体の後始末をするときに恥ずかしがって少し抗ったきり、乱太郎は動く気力も無く、大人しくしていた。
パジャマまで着せてもらった乱太郎は、リビングのソファーに座り、利吉の渡してくれたミルクを飲んで、やっと人心地付いたようだった。
「大丈夫かい。痛い所とか、ないかい?」
利吉の言葉に頷いたものの、まだぼうっとしている。この分ではもう少し、意識がはっきりするのに時間が掛かるだろう。潤んだ睛で暈りと自分を見上げる様子が可愛くて、利吉は再び沸き上がって来る欲情を、無理に押さえ込んだ。
隣に座って、小さな肩を抱き寄せる。
「乱太郎…」
呼びかけると、ゆっくりと視線を廻らせる。愛しくて堪らない。
「可愛い、私だけのものだよ」
囁いて口付ける。乱太郎は大人しく身を任せている。ゆっくりと過ぎてゆく甘い時間に、利吉は出張の事をすっかり忘れていた。
終
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