オープンソースプロジェクトにふれる
第4回.WinCVSを使う
∩1.WinCVSとは
"WinCVS"はUnixの世界では有名なバージョン管理ツール"CVS"(Concurrent Version System)のWindows版クライアントツールです。私は仕事ではMicrosoft Visual SourceSafe 6.0(以下、VSS)を使っていますが、基本的には似たようなイメージだと思います。
VSSの便利さを知ってしまうと、「何を今更CVSか」という思いもしますが、個人レベルで開発をする場合には高価な開発環境はなかなか用意できるものではありません。
CVSはFREEですから、そういう意味では敷居は低いと言えます。また、WinCVSならGUIで操作可能ですから、とっつきやすいでしょう。勿論、ネットワーク対応です(クライアント-サーバ形式)。
ここではWindows環境での開発を目的とすることとし、WinCVSを使ってCVSリポジトリを介して開発するための第一歩として記述します。
∩2.必要なファイルをダウンロード
「入門CVS」という本を書いている大月美佳さんのサポートページから以下のファイルをダウンロードします。
・WinCvs11b15.zip (WinCvs 11b15、本体)
・WinCvs11b15_sjis_knjwrp20001107.lzh (WinCvs 11b15用日本語対応キット(knjwrp20001107))
・tcl832.exe (Tcl 8.3.2、スクリプト言語)
まず、WinCvs11b15.zipを解凍すると、"WinCvs11b15"というフォルダが作られ、インストール用のファイルが展開されます。フォルダ内のsetup.exeを実行すると、インストールが始まり,
C:\Program Files\GNU\WinCvs 1.1
というフォルダが作成されます(Cドライブにインストールした場合)。このフォルダ内で、WinCvs11b15_sjis_knjwrp20001107.lzh を解凍すると日本語対応となります。
次に、tcl832.exe を実行すると、"Tcl"のインストールが始まります。
C:\Program Files\Tcl
というフォルダが作成されます。これにより対話的なコマンド操作が可能となります。
∩3.WinCVSの起動
「スタート」メニュー→「プログラム(P)」→「GNU」→「WinCVS 1.1」→「WinCVS」と辿っていくと、VSSライクなGUIを持つ画面が起動します。しかし、このままでは何にも出来ません。CVSリポジトリから何かプロジェクトファイル(ソースファイル)をダウンロードしてみましょう。
∩4.CVSリポジトリにアクセス
ここでは試しに匿名(Anonymous CVS Access)で自由にアクセスできるプロジェクトをダウンロードすることにします。
日本人の開発者による本格派3D卓球ゲームプロジェクト「CannonSmash」を取り上げます。
リポジトリにアクセスする前に、ダウンロードファイルの格納先を用意します。「作成(C)」メニュー→「新しいリポジトリの作成(C)」で、”Init setting”画面が開き、「全般」タブの”CVSROOTの指定(環境変数)(C)”にルートとなるディレクトリ(ここでは”c:\home\cvsroot”とします)を入力し
、”認証の方法(A)”は”Local mounted directory”を選択して"OK"をクリックします。フォルダ C:\home\cvsroot が作成されます。
続けて、CannonSmash 用のフォルダとして C:\home\cvsroot の下に、CannonSmash フォルダを作っておきます。
それではCVSリポジトリからファイルを取ってきましょう。
「管理(A)」メニュー→「コマンド入力(C)」で、”Command line settings”画面が開き、「コマンド入力の設定」タブの「CVSのコマンドを入力(C)」のボックスにLogin用のコマンドを入力して、"OK"をクリック。
すると「パスワード認証」画面でパスワードの入力を求められますが、そのまま"OK"をクリックすればLoginします。成功すれば下段の表示は以下のようになるはず(ここで実行するコマンドは、
SurceForge の CannonSmash 「Summary」ページの"CVSリポジトリ"を辿れば、書かれています)。
cvs -d:pserver:anonymous@cvs.CannonSmash.sourceforge.net:/cvsroot/cannonsmash login (← ここまでがコマンド)
(Logging in to anonymous@cvs.CannonSmash.sourceforge.net)
*****CVS exited normally with code 0***** (← 成功したと言っている)
引き続き、”Command line settings”画面から、以下のコマンドを送って、ファイルをゲットします(CannonSmash はWindows版とLinux版があるようで、ここではWin32版をゲットすることにします)。
SurceForge の CannonSmash 「Summary」ページの"Browse CVS"ページから、そのモジュール名が"csmash"らしいことが分かりました。
cvs -z3 -d:pserver:anonymous@cvs.CannonSmash.sourceforge.net:/cvsroot/cannonsmash co xxx(←必要なモジュール名。ここでは csmash。ここまでがコマンド)
同様に成功すれば下段の表示は以下のようになるはず。
cvs server: Updating csmash
(以下略)
*****CVS exited normally with code 0***** (← 成功したと言っている)
WinCVSの画面を更新して、ほんとにファイルを取得できたか確認します。
「問合せ(Q)」メニュー→「最新の情報に更新(E)」で画面左のExplore風のツリーの \home\cvsroot\CannonSmash に \csmash フォルダが追加されているのが確認できます。
これでプロジェクトファイルはゲットできました(が、これでプログラムがビルドできるかまでは確認していません)。
∩5.参考図書、LINK
・「入門CVS」 ... 大月美佳・著(秀和システム、\2,200)、著者によるサポートページは「入門CVS Official Support Page」
・CvsGui.org (WinCvs.org) ... WinCVSの開発プロジェクトページ。
→ つづく(かも?)。
更新日:2001/09/11
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