読書メモ
・「日経新聞の裏を読め」
(木下 晃伸:著、角川SSC新書 \720) : 2008.09.01
内容と感想:
著者は独立系の資産運用会社のアナリスト。
ビジネスや投資に役立つ情報を得るツールとしての日経新聞の読み方を解説。
「裏読み」も大事だが、世の中のスピードがますます速くなっている今、先読みも大事だろう。
第2章で「日経新聞は経済に関して記者の張り付ける量が根本的に違う」というように、
経済情報については日本では最も信頼できるメディアであろう。
ビジネスマンであれば日経を読むのは基本中の基本だと私は思っている。
(まともに読めるようになったなと思うのは最近のことだが)
第4章の「40歳代前半の人口と日経平均株価は連動している」というデータが興味深かった。
(これはアメリカにも当てはまる。NYダウと連動している)
これに従えば「日経平均株価は2015年までに3万円になってもおかしくはない」という仮説が浮かび上がると著者はいう。
人口が多い団塊世代が40歳代前半だった1990年前後は日本はバブル経済のときだった。これをピークに日経平均は下降。
次に人口が多い団塊ジュニア世代がこれから「人生消費世代」という40歳代前半に突入していくが、
2015年前後に再びバブルが起きるのだろうか?その頃、彼らに必要とされ指示される企業はどこか?
株価が低迷している今のうちに探して買っておくのもいいだろう。
その仮説が正しいかどうか検証するには今後も日経新聞を読み続け、情報収集を怠らないことだ。
第5章で「自分が向かっている道が正しいのかどうか、自分だってよく分からない。だから道しるべとして情報を大量にインプットする。
そして自分なりの正解を追い求めていくほかない」と言う言葉には同感だ。
著者も「量が質に転化する」ことを認識しており、詰め込みでもいいから、まずは大量に情報をインプットすることに慣れること。
断片的だった情報も徐々につながってきて、知識となり見える景色も変わってくる。経済情報に限ったことではないだろう。
次はもう一段上の裏読みのスキルを身につけ人の一歩先行くこと(先読み)を目指すことだ。
○印象的な言葉
・時間をかけず、ラクに大量に情報をインプット
・日経新聞とインターネットの融合
・景気は気持ちの景色
・お金を使うから景気がよくなる
・記憶は記録から
・情報が目に飛び込んでくる
・記憶と記憶が線になり、面になる瞬間がオリジナリティ。論理の飛躍を生む
・すぐに調べて答えられる能力
・情報のインプットが足りないとパニックになる
・いくつかの断片的な情報を自分なりに取捨選択して再構築できる能力
・明らかであるにもかかわらず、まだ知覚されていないものを探す。予測ではなく、観察することこそが未来を読み解くキーワード(ドラッカー)
・クルト・レビンの公式:「その人の特性(素質・能力)」×「その人を取り巻く環境・風土」=「その人の行動」
・電子版ウォール・ストリート・ジャーナルは世界で最も成功した有料新聞サイト
・中国ビジネス成功の秘訣:現地に早くから根ざすこと
・シニアビジネス:実際にはシニアはお金を使わない世代。40代前半こそ「人生消費世代」
・50世帯に1つは1億円以上の金融資産を持つ富裕層
・アンテナを立てていれば、それに合った情報に出会える
・1980年代のアメリカの不況:4千行近くの銀行が倒産。バンカメも実質的な破綻に追い込まれ、シティーグループもあと一歩で破綻というところだった。
・情報は流さなければ腐る。情報を流すことによって、還流して大きくなって戻ってくる
・人は説得されたいのではなく、納得したい
・知識によって見える景色がまったく違う
-目次-
第1章 ビジネスと投資で成功する人、失敗する人 ―情報をインプットする量で決まる
第2章 本当に「日経新聞」がいいのか? ―お金の情報に一番近い新聞
第3章 一歩先行く“裏読み”の技術 ―もう一段上のレベルへ
第4章 株式市場は偏見に満ちている ―インプットした情報を総動員
第5章 インプットするためにアウトプットする ―劇的に情報量を増やす最終兵器
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