読書メモ

・「察知力
(中村 俊輔 :著、幻冬舎新書 \740) : 2008.12.13

内容と感想:
 
ご存知、今や日本のサッカーには欠かせない存在である中村俊輔が書いた本。 タイトルにあるように察知力の重要性を、彼のこれまでのサッカー人生と重ね合わせて説いている。 その察知する力の重要性はサッカーのみならずあらゆる仕事に当てはまると彼は考えて本書を書いた。 察知するものとは遭遇した問題の原因や、自分に求められていること、目標に対してやるべきことだったりする。 これからプロサッカー選手を目指す子供たちは勿論、その他の目標に挑戦している人、既に仕事を持っている大人にもヒントを与えてくれるだろう。
 私はサッカーに興味はあるが、それほど詳しくはない。 しかし名選手が考えていることや、どのようにして日本代表に選ばれるようなスキルを身につけてきたのかは非常に気になる。 しかも本書はまだ現役で最前線でプレーする選手が書いたということで非常に「旬」な本と言える。
 第二章の第一節で書いているように彼はサッカーノートを今も書き続けている。 ノートを書くことで自分を客観視してきたという。そして「目標を設定してクリアする」ことを繰り返してきた。 それが今の彼を作り上げたのだ。いたってシンプルである。
 第二章の最後で「達成感を抱いたことはない」、それは「怖くてできない」と書いている。 常に自分に満足することを許さない。向上心を持ち続けている。彼が自分に厳しい人だと分かる。

○印象的な言葉
・「平均的にいろんなことができる」は武器になる。能力のレーダーチャートに円を描ける。その円を大きくしていく
・観察し、情報を集め、察知する
・引き出しの数が未来の可能性になる。考えなくても自然に選択できる
・難局こそ課題を見つけるチャンス
・ベテランには若手にはない豊富な経験がある。質の高い動き、無駄のない動き。展開を読む。流れをコントロール。精神的な安定。 チームを鼓舞し、牽引する存在感。若手への影響力。
・相手の気持ちを想像したアドバイス
・相手より先に動き出す、早い判断力
・言われただけのプレーを嫌う。いつも同じことをやっていても意味がない
・サッカーノート:良かったこと悪かったこと、気が付いたこと、気になったこと、忘れたくないこと、忘れちゃいけないこと。 気持ちや考えを整理。自分を客観的に見つめる。
・先を見つつも、足元をしっかりと見極める
・悩む作業が自分を伸ばす
・逃げないで飛び込んでいけば何かがある
・刺激がなくなったときには環境を変える。厳しい環境のほうが自分のためになる
・自分を周囲に理解してもらえる状況を作る。自分から望む方向へ状況を仕向ける。
・自分が出来ること、出来ないことを知る
・(いつも、何か)学ぶべきことはないかと考える
・批判も受け止めなくちゃいけないことは受け止めつつも、上手く流す
・自分自身を失わないタフさ
・落ち込んでいる時間はもったいない
・出来ることを手を抜くことなくやった、という実感。妥協しない姿勢
・柔らかい頭
・何が起こるか分からないから、臨機応変に対応しなさい

-目次-
第1章 成功へ向かうとき、必要なものが「察知力」だ
第2章 僕はこうして「察知力」を磨いてきた
第3章 「察知力」を活かして未来へ進む