読書メモ
・「「ここがおかしい!」と言えるサラリーマンになる!」
(柴田 昌治:著、中経出版 \1,400) : 2008.09.23
内容と感想:
「働く人の労働市場での価値を高めていく働き方」について書かれた本。
「はじめに」にはこれからの時代に必要な人材は、
夢を持ち、誠実で、志があり、他人とのかかわりの中で一緒に知恵をつくり出していける人だと書かれている。
それは「変革志向のサラリーマン」とも言い換えている。
著者は組織風土・体質改革のコンサルタントとして著作も多い。
本書の内容も根底にあるのは風土改革だが、それを実現するための社員一人一人の行動や勇気の大切さ、
社員同士のネットワークの大切さについて書かれている。一人だけでは実現できない。
全6章を通じて、改革を成し遂げるための6つの知恵を説いている。
最近、企業や省庁などの不祥事が続いていると感じるが、、その大半は経営陣の経営能力の問題というよりも、
「会社組織の風土・体質に原因がある」と著者は考えている。「組織ぐるみのxx」というフレーズを聞いたことがある人も多いだろう。
多くは社長一人の問題とか、特定の一社員が原因とか言ったものではないのだ。知らず知らずのうちにそんな組織になってしまっている。
中にはワンマン社長で社員に文句も言わせないような雰囲気の会社もあるようだが、いつまでも社長の悪事を止められない社員にも問題がないとはいえないだろう。
何かしら前兆やシグナルが出ているはず。常に問題意識をもっていないと、シグナルに気づかない。
組織の体質の悪化の原因として多くは、社員がお互いに組織(みんな)の判断に「もたれかかっている」から、と指摘する。
自分の責任ではない、上が悪い、あいつが悪い、と責任転嫁するのは簡単だ。それを黙って見過ごし、放置すれば災いは、いずれ自分にも降りかかって来ると知るべきだろう。
「おかしいことをおかしいと言えない、誰も助けてくれない、失敗は許されない、という相互不信の状態が組織のあらゆる問題を隠してしまい、
やがて取り返しのつかない大問題を引き起こしてしまう」と言うように、
そんなことにならないためにも組織の風土・体質を変え、社員が相互に信頼し合い、言いたいことが言えるようにしていかねばならない。
本書はそのためのヒントを与えてくれる。みんな思いの熱さこそ違え、会社をよくしたいと考えているはず。
何の問題もない組織であれば本書は不要だが、私はうちの会社もそうだな、といくつも共通点を見つけ、自分と重ね合わせながら読ませてもらった。
本書にある6つの知恵を身につけることが出来たら、それは価値の高い人材と言えよう。
そんな人材が活躍すればきっと会社は良くなるし、会社が潰れることもないだろう。その会社には欠かせない人材だから、わざわざ労働市場へ仕事を探しにいく必要もなくなるだろう。
やる前に諦めるのではなく、とりあえずやるだけやってみて、それでも駄目なら仕方がない、そのときは考えよう。
○印象的な言葉
・良い会社:働き甲斐のある、利益も上げる、互いが成長、社会に貢献、報酬
・自分の立場や居場所を離れたネットワーク、志を同じくする人間。情報交換
・社内の制約条件=暗黙のルール
・非データ系情報:現場感覚系情報。表情、空気、雰囲気などの価値。現場の生きた情報。
まとまった意味をまだ持ちえていない、説明しきれていない、断片的でまとまりがない、もやもやして整理しきれない。
思いや熱意、勘など人のエネルギー。感覚的な情報。
・データ系情報だけだと知識は増えるが、知恵が増えていかない
・上下の視点
・部署・部門間の壁に惑わされない。横の連携
・働き方と生き方を同列に
・本音で話ができる場
・悪い強調体質、見せ掛けの安定化
・不安定さは変化を伴う活性化した状態
・特注品の開発を強みとする会社。提案型営業が重要。セールスエンジニア
・立場に閉じこもる、しがみつく、縛られる
・不明点を問い直さない。勝手な解釈。心からの納得
・取り柄はがんばりと誠実さだけ。余裕なし、情報なし、知恵なし
・確固たる答えが持てない、その答え自体が日々変化していく時代
・紹介客。既存顧客だけに絞った出前営業ではジリ貧
・自分自身が仕事の主人公。当事者。問題感度。自分の意思で主体的に動かなければこの状況は変わらない
・変化は常態
・プロセスで得るものは多い
・常識はずれの活動。判断基準を変える
・やるリスク、やらないリスク
・振り返りミーティング:プロジェクトの失敗や問題などをオープンに話し合う。批判しないのがルール
・責任追及より原因追求
・将来の展望を常に描く努力。思いとしてはしっかりとしたビジョンを持とうとしている
・みんなで「大切にするもの」を共有。価値の中心軸。軸はシンプルで、明確で分かりやすいもの。勇気とやる気を与えるもの
・共感を呼び起こす
・老化現象は用心深さとともに現れる
・改革の抵抗勢力:損か得かでしか考えられない人か、中身より形式重視のタイプ。反面教師、別の角度から見ている
・あきらめ感は労働生産性の面で悪影響を及ぼす。
・仕事の全容が見えにくいと成果も見えにくい、満足感や達成感が得られにくい
・仕事に余裕を持たせるために仕事の整理をする
・外国人から見ると日本人は功利的な人種に見える
-目次-
第1章 何が問題なのかを発見し、解決する知恵とは?
第2章 “どうしたら勝てるのか”豊かな発想をもたらす知恵とは?
第3章 本当に役立つ情報を集めて生かす知恵とは?
第4章 明日のシナリオが描ける人材になる知恵とは?
第5章 人と協力し合って自分を生かす知恵とは?
第6章 仕事をやりがいのあるものにする知恵とは?
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