読書メモ

・「ロングセラーの発想力 〜売れる!アイデアが身につく
(齋藤孝:著、ダイヤモンド社 \1,500) : 2008.10.12

内容と感想:
 
ロングセラー。一つの商品が長く愛され続けることはビジネスの理想である。 そんな商品を著者は「社会の”普遍的な価値”を探り当てた」と表現している。 本書は日本人にお馴染みのロングセラー商品を分析して、なぜそれが売れ続けるのか、どうしたらそんな商品を作ることができるのか、 その秘密に迫っている。「週刊ダイヤモンド」誌の連載を元に書かれた本。
 いろんな商品を取り上げているが、その殆どは食べ物、飲み物や身近な日用品など。 しかし、それってロングセラーなの?と思わせるものも混じっている。 貧乏だった我が家では子供の頃には買ってもらえなかった玩具など、ちょっと高級品と思わせるものもある。
 ちなみに通称、輪ゴムと呼んできたあの商品の名前が「オーバンド」だっとは、この年になって初めて知った。 伝統芸能や昔話、民謡などはまさにロングセラーだと思うが、残念ながら取り上げられていない。タカラヅカは取り上げているのに!?
 プロローグでは著者が発見したロングセラーの3つの共通点について書いている。 相応の需要があること、習慣化、身体感覚の3つだ。 「消費者にクセをつけさせることができれば長寿になる」というのがロングセラーの真髄である。
 ロングセラー商品には信頼感や安心感、安定感、親近感を感じる。だからリピーターが付くのだ。 私もいつかはそんな理想的な商品を生み出したいと思うのだが、死ぬまで実現しない可能性のほうが高いだろう。
 4章でも出てくるが今の世の中は「あらゆることに変化が求められている」。 「しかしそれだけでいいのか、と立ち止まりたくなる瞬間もある。変わるべきでないものもある」。 アイデンティティを失ってはいけない。ロングセラーは自分のアイデンティティを再確認する役割も担っているのだ。
 ロングセラー商品には圧倒的シェアで市場を独占しているものもあるかも知れない。 しかしロングセラーだからといってそれを排除するような規制がもし出来たとしたら、オジさん達は帰るところを失ってしまうかも知れない。

○印象的な言葉
・商品へのロイヤルティ、忠誠心、飼いならす、固定ファン、定番
・クセになったら止まらない、刷り込み、儀式
・自信、勇気、覚悟、不退転の決意、信念、一貫性
・頑固なこだわり、頑なな姿勢、存在感、愛着、拠り所
・変わらない、消費者を裏切らない
・原風景、風物詩、故郷、風情、郷愁、情緒、安らぎ、歴史
・高い志、パブリックな使命感
・軽くて薄くて安いという「売り」が存在感を希薄にする
・ギリシャ・ローマ神話は個性的なキャラクターの宝庫。それらを商品のキャラクターに起用。奥行き、知的さ、高級感
・動物がもつ生命力の根源のような強さ。動物からパワーをもらう。動物の動きを真似た体操・ヨガ
・値段が高いからこそ、ありがたみが増して売れることもある
・ワンパターンが落ち着かせてくれる。規則性
・現在、落ちぶれている商品の中にも、転用によって復活する可能性も
・単純でリズミカルな動きの繰り返しに快感を覚える。止められない止まらない

-目次-
プロローグ
1章 「変わらない」という不退転の決意 〜ロングセラーとは、消費者にクセをつけさせることである
2章 受け継がれる、子ども時代の原風景 〜“刷り込み”を継承することから、ロングセラーが生まれる
3章 「アナザーワールド」は世界を制す 〜“ワールド欲”をとことん刺激して、ロングセラーに
4章 「あって当たり前」のなかに秘密がある 〜誰もが求める「故郷」としてのロングセラー
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