読書メモ
・「成果主義時代のリーダーになれる人なれない人」
(梅森 浩一:著、IBCパブリッシング \1,400) : 2008.09.08
内容と感想:
三章にも紹介されているカルロス・ゴーンさんの言葉「リーダーシップは実践・経験を通じて学んでいくもの」というのはなんとなく分かる。
また「リーダーシップに関する本は数多く出版されていますが、これらの本を読むだけでは絶対に習得できません」というもの、
彼の経験が裏付けるのだろう。本書もその「リーダーシップに関する本」の類ではある。
本書の内容は私の頭には割りとすんなりと入ってきたのだが(素直なのか?)、それほど突飛なことが書かれているわけではないからだろうか?
実際の行動に結び付けられているかというと疑問だが。
先ほどのゴーンさんの言葉だが、著者はそれに対する不満を述べている。
実践でしかリーダーシップを身に付けることができないとすれば、その機会を与えられなければ一生学ぶことができないのかと。
そうしたチャンスが来るのを神頼みするしかないことになる。
著者はそんなチャンスが与えられなくても自ら実践で学ぶための場を作れという。
「小さなことから始めよう」ということで、リーダーとして小さなプロジェクトを立ち上げてみることを勧めている。
ひとつひとつの小さなプロジェクトの成功体験の積み重ねを通じてリーダーシップを学んでいくのだ。
それは初めは勉強会や慰安旅行の幹事などからでもよい。
また、一見すると自身の得にならないような状況で、他人が避けたがるようなタフなプロジェクト(チャレンジングな仕事)を
こなすことでも多くを学べるだろうとも言う。
部下を知るために「授業やコーチング」を自らかって出ることや、
ボランティア活動や地域活動など「会社とは別の仕事」をしてみるのもいいと言っている。
リーダーシップを学びたいなら、まず一歩踏み出すことだ。
三章にも出てくる「持続するリーダーシップ」という言葉が印象的。
この国のリーダーに是非、認識してもらいたいフレーズだ。
○印象的な言葉
・人は感情で動く動物
・しっかり相手を見てあげる
・相手の目線で考える。目配り、気配り
・目標は徹底的に具体的に
・誰もやっていない(人のやらない)仕事に携わる
・活発な行動が老化の原因となる「細胞の酸化」を加速させ、新陳代謝が早すぎて寿命を縮める
・実力差を見せ付けられるときは見せ付けろ(イチロー)
・より少ない人数で、より多くの仕事をこなす時代
・人を巻き込んで上手に使うことができる
・株価の40%は財務情報以外のものによって決まる。リーダーシップの質も大事
・必要なときにはそばにいてくれるという安心感
・変革期のリーダーを同じ社内から見つけるのは困難
・準備は怠らない
・経営も身体全体でやる。後ろ姿。困ったら現場に戻れ
・テンパっている時こそ、人の本性がわかる
・ブーメラン方式の目標設定:トップダウン←→ボトムアップを素早くやる
・改革の最大の抵抗勢力は無関心。口にこそ出さないが非協力的なタイプ
・行動が習慣となり、習慣が思考を生み出す
・ありきたりなプロジェクトの中にこそ、より汎用的なものを学習することができる
・あいつがいないと仕事が回らない。存在価値。これはあいつに聞け
・ダイバーシティ:多様化
・眠っている能力、発揮されていない能力
・持続する成功者(リーダー)
・人々の力を借りながらも、決して他人に頼ることなく
-目次-
はじめに ハツカネズミは20日で死ぬのか
一章 リーダーシップの値段
1 成果主義の査定方法
2 リーダーシップの値段
二章 リーダーになれる人、なれない人
1 「あたりまえ」のこと
2 「反面上司」
3 リーダーの条件
三章 リーダーになる行動
1 自分にできないはずがない
2 自分を解剖する
3 リーダーになれる行動
おわりに The Midas Touch(金儲けの才能)とリーダーシップ
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