読書メモ
・「英語は逆から学べ!」
(苫米地英人 :著、フォレスト出版 \1,300) : 2008.11.23
内容と感想:
私は仕事で忙しい中も英語を上達させたいと思っている一人である。
本書は私がこれまで学んできた間違った英語勉強法を根底から覆す本である。
しかしそれは画期的でもなく、言われてみればなるほどと思われ納得できるものである。
それはネイティブスピーカーが母国語を学ぶ方法であり、子供が言葉を学ぶのと同じように学ぶだけなのだ。
タイトルの「逆から学べ」というのは日本の英語教育とは逆の学習法だからだ。
日本ではまず文法から教えるが、著者の主張では文法は最後の最後なのである。
本書の学習法はすべての外国語の学習に応用可能という。
言語のクリティカルエイジ(8〜13歳)を越えても問題ない。
「見る・聴く」から始めるその方法は言葉を学ぶのであってもの視覚情報を重視している。
音だけでは臨場感を感じられないからだ。イメージや文脈(状況)を大切にしているのだ。
高い教材は不要。英語のドラマや映画のDVDを使う安上がりの勉強法だ。
本書では脳を「英語モード」にするために徹底的に日本語を排除する。
従来の英語学習方法は「日本語を使った日本語による英語の学習であった」と書かれているように、
それは英語を学んでいるのではなく「英語について学んでいるだけ」という指摘は文部科学省には耳が痛いだろう。
これを読んで思ったのは、それは語学学習だけではない話だということ。
仕事で必要になる専門的な知識や技術の学習も同じ問題を抱えていて、より実践的で効果的な学習方法を
採らなければ身には付かないということだ。著者が五感を使えというのもよく分かる。
学んだつもり、分かったつもりでは脳には定着しておらず、使える知識・技術にはなっていないということだ。
付属のCDには自己実現力・記憶力・IQ(問題解決力)を高める音源が収められている。
聴いただけではイージーリスニング系の音楽だが、そこには記憶を司る脳の「海馬」組織を高める音源が埋め込まれているという。
海馬が情報の出し入れをしやすくし、記憶力を高めることができるそうだ。
また、IQを高めることで抽象度の高い思考ができる、という。学習効果を高めてくれるらしい。
○印象的な言葉
・英語の周波数が聴けるようになる。母音・子音などの音素の波形の周波数は言語によって異なる
・文法など考えずに自然に英語が口から出る。英語でものを考える
・短期間
・日本の英語教育はもはや機能していない
・英語センスは不要
・イメージして連想
・日本語を介在させない。字幕は見ない
・チョムスキー理論:生得仮説(脳は文法能力を潜在的にもつ)、ユニバーサル文法説(どんな言語も一番深いところでは同じ)。
・新たな言語空間を作る。日本語の言語空間とは分ける
・意味は状況にある
・通訳・翻訳は似たものを探しているだけ。違う文化の中から引っ張ってくる
・(外国語を学ぶときに)日本語脳を活性化させない
・文法(統語論)は完全には解明されていない。まだ発展段階。アンダージェネレーション。
・オーバージェネレーション。文法的には正しくてもネイティブスピーカーは絶対に言わない表現
・まず音から。次を予想する。暗記しない。文字は最後の最後。
・文法は英語ができるようになってからスタイルとして学ぶ
・逆複式呼吸でリラックス
・一つだけ単語を拾う。イメージする。五感で感じる
・シャドーイング。話者の後に続いて発話。発話訓練。
・脳の後ろの1/3は視覚野。視覚情報がサバイバルに特に重要
・辞書を買うなら英英辞書かシソーラス。日本語の書かれた辞書は邪魔
・構造主義は間違っている。かつての日本の国家プロジェクト「第五世代コンピュータ」も構造主義がベースで、失敗した。
・言語は双方向的な現象。ゲシュタルト現象
・日本語はヘッド・ファイナルな言語。重要なヘッドである動詞が最後にくる。
・英語はヘッド・イニシャル。動詞が最初にくる。
・脳の可塑性。脳のある機能が損なわれてもきちんと訓練すれば、その機能部位以外のところで同じ機能を学ぶことができるようになる
・概念などの言語より高い抽象度の知識は既に脳に固定化されたネットワークを使用しても構わない
・まず唇や舌の動きを観察しながら音素モデル(フォネティックス)学ぶ
・音韻(フォノロジー。音の並び。単語)→統語論(シンタックス。単語の並び、構造)→意味論(セマンティックス)→語用論(プラグマティックス)の順に学ぶ
・言っていることの1/5、1/10も分かれば、だいたい筋は分かる
・何回聴いても単語が聞き取れないときは英語の字幕を見る
-目次-
1 なぜ、大人になってから英語は学べないのか? ―最新の機能脳科学が解明したクリティカルエイジ(脳の学習限界年齢)とは?
2 日本の英語教育では英語ができるようにならない理由 ―はるか昔の言語学をもとにつくられた教育方法では意味がない!
3 すべての人が生まれたときから「英語センス」を持っている! ―最新の機能脳科学が解明した「脳が言語を学ぶメカニズム」とは?
4 赤ちゃんと同じ方法で学ぶ! ―50倍速英語脳プログラム 理論編
5 ネットで話題の誰でもできる「英語脳のつくり方」―50倍速英語脳プログラム トレーニング編
|