読書メモ
・「会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール」
(福沢 恵子、勝間 和代:著、ディスカヴァー・トゥエンティワン \1,440) : 2008.11.29
内容と感想:
「はじめに」で勝間氏が言っているように本書は男性中心の企業社会において「キャリアアップをめざしながらも、なかなかうまくチャンスを
つかめないでいる女性を想定して」書かれた。本書にはタイトルにある「本当のルール」が、職場でも
「なかなか面と向かっては誰も教えてくれない15のルール」としてリストアップされている。会社人のためのサバイバルガイドである。
本書の元ネタは共著者の福沢氏が1993年に訳書として発行した「ビジネス・ゲーム」という本(絶版)だそうだ。
原典はアメリカの本だからアメリカのビジネス慣習も色濃いと想像されるが、本書では意識的に日本社会で通用するように書いているようだ。
その本を元にケーススタディ形式で分かりやすく構成されている。
読者の対象としては女性だけでなく新人社員や、部下を育成する立場の上司も再確認するためにもよいだろう。
例えば最初の「ルール1. 出世のために仕事をするべきではない。やりがいが重要である」という設問に対して、
どう答えるだろうか。答えは立場によって違ってきそうだが、そうした微妙な問題に対しても、それぞれの設問に対してアメリカ的なドライな感覚で
答えを出して見せていると感じる部分もある。それはもはや旧来型の終身雇用、年功序列の企業で働くことを前提としていない。
答えは一つとは限らないが、一つのものの見方として参考とすればよいだろう。
一つ一つのルールは社会人としては常識と思われるものも多いが、それらは入社直後に研修等で教わるものでもなく、
従来はOJTや業後の飲みニケーションなどで無意識に教え・教わってきたものだと思われる。
だからそうした暗黙知が本書のように明文化(形式知化)されることは意味があるだろう。
特に日本女性にとっては、圧倒的に男が多い企業社会の中では知らされない慣習のようなものもあるだろうし、
思いもしなかったような考え方に遭遇し、愕然とさせられることもあるかも知れない。
○印象的な言葉
・1999年に「男女雇用機会均等法」は改正され、大半は努力義務規定から、罰則のある禁止規定となった
・通常の組織は出世しないとやりがいが生まれないようになっている。権限と責任の範囲が広がる。他人や会社のリソースを自由に使える。世界が広がる
・組織は利益と成長を求める。構成員である個人にも成長が求められる
・出世よりやりがい、好きな仕事⇒現実逃避、勘違い
・仕組みを作って成果や利益を上げていく仕事
・部下に仕事を任せ、裁量で自分の仕事や時間をコントロール
・付加価値:期待されたレベルを超える。上司が気付いていない視点を足す。気が利く。納期が早い。
・失敗が致命的にならないようセーフティネットを用意して挑戦する
・プロフィット(利益)センターとコスト(経費)センター(間接部門)
・アサーティブ(過度に攻撃的にならず、防御的にもならず)に断る。代替案を出す
・アメリカでは施行されている「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案は、日本では労組やマスコミなど反対派の扇動により潰された。
もともとは成果さえ上げれば早く帰れる仕組みを目指したが、残業代を払わないとはひどい、という話にすりかえられた。
・余人をもって代えがたい存在。会社に貸しを作っておく
-目次-
はじめに
女性たちってこんな時代を歩んできたんだ・・・
15のリアル・ルール、教えます
ルール1 出世のために仕事をするべきではない。やりがいが重要である ―これって本当?
ルール2 まじめで有能であれば、周りから、認められ評価される ―これって本当?
ルール3 社内政治は本来あってはならないもの、関わるべきではない ―これって本当?
ルール4 仕事は中身が重要であり、お金にこだわるべきではない ―これって本当?
ルール5 仕事の場で群れるのは慎むべきだ ―これって本当?
ルール6 上司からよくほめられるのは、評価が高い証拠である ―これって本当?
ルール7 本音とタテマエを使い分けてはならない ―これって本当?
ルール8 人を攻撃してはいけない ―これって本当?
ルール9 人から嫌われてはいけない ―これって本当?
ルール10 残業もいとわず、できるだけたくさん仕事をする人のほうが評価される ―これって本当?
ルール11 上司の機嫌をとるよりも仕事の内容で勝負すべきだ ―これって本当?
ルール12 失敗して叱られるようなことがあってはいけない ―これって本当?
ルール13 仕事とプライベートはきっちり分けるべきだ ―これって本当?
ルール14 産休・育休は、当然の権利として堂々ととっていい ―これって本当?
ルール15 ルールはいかなるときも守らなくてはならない ―これって本当?
辛口対談・・・・・・ここだけの話
これで完璧! チェックリスト
あとがき
|