読書メモ
・「Web2.0でビジネスが変わる」
(神田 敏晶:著, ソフトバンク新書 \700) : 2007.06.10
内容と感想:
ITビジネスをウォッチし続けて、自身も様々なITビジネスに関わっている著者。
「Web2.0」をテーマにした本をいくつか読んできたが、本書ではWeb2.0を次のように表現している。
・インターネットで「何をしたかったのか」がようやく見え始めてきた
・ウェブを通じての人の行動様式の変化をもたらした
・ウェブの未来の夢を感じさせた
・既存のネットビジネスに対する閉塞感を打ち破るパワーをもった「明るいキーワード」
技術は日々進歩し続けてはいるが、「Web2.0はこれ!」といえるような大きな技術革新があったわけでもない。
世の中が1日でそう変わるものではない。しかし少しずつジワジワと変化が起きている。
多くの人がネットにつながることが出来るようになり「個」(ユーザ)へ主体が移っている。
個へのパワーシフトがWeb2.0によってますます加速しているわけだ。
Web2.0によってトレンドの変化、人々の行動に変化がもたらされているのは事実のようである。
(というかその変化のことをWeb2.0と呼んでいるのだが)
企業もその環境の変化に対応していかねばならない。また、その変化が新たなビジネスチャンスともなる。
第3章で著者が提案しているグーグルを活用した人・物・金をマッチングさせるビジネスは興味深い。
単なる広告媒体としてのグーグルではなく、ソリューション(問題解決)パートナーとして幅が広がるだろう。
そしてグーグルが最後に辿り着くサービスは金融だろうと著者は予測する。検索技術を柱にあらゆるものを飲み込もうとしているグーグル。
今や時価総額12兆円弱にもなるグーグルに対抗していくには、グーグル成功の本質を理解し、ライバルになろうとしなければならない。
一方でグーグルに巻き込まれてしまう、密着するのも一つの手であるとも言う。
個人レベルではウェブの進化によりコミュニティで分からないことを教えあったり、自作の作品を公開することで
他人を刺激したり、互いにクリエイティビティを磨くことができる。創造性を刺激し合い、生産性の向上にもつながる。
情報が公開されることでプロとアマの差がなくなりつつあることも事実。個人が力を持つ時代。環境は変わっても自分磨きは続けていくことだ。
それをビジネスにするか(ビジネスになるか)どうかは別として、好きなことなら続けられるだろうし、それが生き甲斐にもなる。
それがいつか「自分2.0」につながるかも知れない。
○印象的な言葉
・ミーム:文化にとっての遺伝子のようなもの
・Flashなどを使ったサイトはユーザを待たせている。ユーザは4秒しか待てない
・日本人はロングテール現象とは逆の恐竜の頭(ヘッド)に目が向き、流行に遅れないために、懸命にキャッチアップしようとする国民
・非常識を常識に変えようという視点
・一人の人は広告を一日に3万回見ている(意識的に見ているのではなく視界に入ってきている)
・日本の広告費は2004年にインターネット広告がラジオ広告を抜いた。雑誌広告にも接近しつつある
・好きなことをコツコツとやり続けることによって未来が開ける
・アメリカではほぼリアルタイムに字幕放送を提供している。字幕放送そのものに広告主が付く
・地上波放送のデジタル化の目的は空いた周波数帯を携帯電話などに割り当てて有効活用すること
・買いたくなるブログには特徴と品位が求められる。愛着、ウンチク、熱意
・個々のブログがトラックバックし合い、話題が連鎖し、世論形成の新しい形に。SNSも。
・震災のとき、一番困っている被災者のためのメディアはどこにも存在しなかった
-目次-
序章 「ウェブの進化」より大切なこと
第1章 結局Web2.0とは何なのか?
第2章 マスメディアからCGMへ
第3章 ブログ、SMS、ポッドキャストの媒体力
第4章 ビジネス2.0をデザインする
第5章 好きなことを仕事にする ―僕の体験的CGM論
第6章 Web2.1への宿題
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