読書メモ
・「Web2.0 BOOK」
(小川 浩、後藤 康成:著, インプレス \1,800) : 2007.02.12
内容と感想:
Web2.0サービスの企画・開発・運営に携わる著者によるWeb2.0の解説書。
近年「Web2.0」が流行語となり、今では「xx2.0」という使い方が流行している。
1章ではWeb2.0が生まれた背景や、Web2.0であることの条件、Web2.0を実現するための技術など、Web2.0とは何か説いている。
2章ではRSSやAjax、マイクロフォーマットなどのキーになる技術を解説している。
3章ではApple社のiTMSや、Google、Amazon、などWeb2.0的サービスのビジネス事例を紹介している。
4章ではWeb2.0によるインターネットやインターネットビジネスの将来を展望している。携帯電話やゲームへも飛び火し、
インターネットと放送が融合すると言っている。
5章ではWeb2.0関連のカンファレンスのレポートと、日本のWeb2.0的企業のキーマンとの対談が載せられている。
日本でWeb2.0的サービスを提供する企業といえば本書でも紹介されているSNSのミクシィや人力検索の”はてな”、価格比較サイトのカカクコムなどがある。
これらのサービスからネットに入った人には特にWeb2.0といっても、それ以前と何が違うかなんて意識はしないだろう。
Google脅威論もあるが、Googleに比べれば日本のベンチャーはまだまだ小粒だ。
本書はこれからWeb2.0的サービスを謳って一旗挙げよう、という人にはヒントになるだろう。
Web2.0なるものをしっかり押さえて、この波に乗る必要がある。現在はまさにWeb2.0バブルといったところか?
Web2.0時代はデータこそが命だと言う。機器やOSなどは超越している。ネットに膨大なユーザが参加することでデータは
ますます増大する。これらを加工したり有効に活用するビジネスにチャンスがあると個人的には思う。
○印象的な言葉
・Web系技術の標準化が進み、Webアプリ開発が容易になった。マネージャが発想を形にすることが容易になった。
・Web2.0の時代はアイデアが勝負のクリエイティブ・エンジニアリングの時代
・buzzword: 流行を生み出すために用いられるキャッチフレーズ
・XML: Webを有益なデータベースに育てようとする努力から生まれた
・トラフィックの起点はポータルから検索サービスへ、そしてRSSリーダーへ
・プラットフォームがOSからブラウザへ、そしてWebそのものへ
・クリエイティブ・コモンズ:著作物の権利をもったまま、一定の条件下で著作物を他人に利用してもらう
・Googleの強さ:Web2.0時代の業界のゲームのルールを決める側に立ったこと。以前はマイクロソフトが決めていた。
・Web2.0的サービス:リッチなインターフェース、無料、イノベーティブでクール、ユーザ参加型、軽快な操作感
・クリティカル・マス:最小限必要とされる市場普及率
・Wikipedia: 進歩的性善説をもとにしたCGM(Consumer Generated Media)の成功例。
・リヴァイアサン的な立場になったGoogle:懸念はあるが使わざるを得ない状況。マイクロソフトも同様
・AppleがインテルMacを出したのはハードウエアのアーキテクチャ開発に興味を失ったから。資源をアプリケーションへ集中。
・タグはキーワードのキラーアプリケーションだが、タグスパムなどの問題もある
・Web2.0的なベンチャーはあまり資金を必要としない。オープンソースのおかげ。エントリーバリアが低い。低コスト開発でスケーラブルなサービス。
・情報を溜めるのではなく、出すことが価値になる。価値を出力する立場になる
・Web2.0時代はユーザが力を持ち始めた時代
-目次-
Chapter 1 Web2.0とは何か
Chapter 2 Web2.0をとりまくテクノロジー
Chapter 3 Web2.0的サービス
Chapter 4 Web2.0近未来予測
Chapter 5 Web2.0ベンチャー最前線レポート
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