読書メモ
・「がぶり!トヨタ ―マンガで3時間でわかる」
(森田 慶子:著, 水島 愛一朗:監修、明日香出版社 \1,300) : 2007.01.07
内容と感想:
いわずと知れたトヨタは世界販売台数および営業利益では米国GMに続く、世界第2位の自動車メーカーである。
そのトヨタの強さの秘密や魅力を知る本。見開き1項目で1ページは漫画でポイントをまとめているから読みやすい。
日本を代表する超優良企業であるから話題は多く注目度も高いが、
私の一番の興味は「トヨタ生産方式」(1950年代に大野耐一氏が開始)だった。これをコンサルする会社があるくらい実は複雑なものらしい。
それを勉強するもはすごく大変そうだ。本書であれば「トヨタ生産方式」の概要くらいは把握できるだろうと思い手にとる。
「トヨタ生産方式」は「Just In Time」と「ニンベン(人偏)のある自働(動ではない)化」の2本柱からなる。
生産性向上システムの一種である。いわゆる「カンバン方式」というのは私も聞いていたが、仕組みまでは理解していなかった。
現在のトヨタを支えているのはその「トヨタ生産方式」であるが、それを着実に現場が実践できているのが強さの秘密だと感じた。
手法だけがあっても活かせなければ生産性は上がらない。また常に改善(kaizen は英語にもなっている)できる、「変われる会社」が
トヨタなのである。トヨタ社員ではないから分からないが、そういう社風になっているのかも知れない。
現場は自らの頭で考え、現場に即した判断ができるように鍛え抜かれている人間ばかり、というのが真の強みなのだろう。
学べることは多い。
ちなみに私の愛車もトヨタ車である。高級車Lexusもいいが、やはり興味があるのはハイブリッド車。
ガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせである(THS: Toyata Hybrid System)。立ち上がりの早さが特徴。
第5章には世界初の量産ハイブリッド車「プリウスの」開発物語が読めて、技術者でなくても楽しめやアルファード、ハリアーなど
他の車種もハイブリッド化が進んでいる(THSU)。
○ポイント
・「知恵と改善」、「人間性の尊重」を重視する「トヨタウェイ」
・トヨタの納税額が国家予算に占める割合は大きい。日本を支える
・自己資金にこだわる。無借金経営
・市場を作るために自動車学校の開校などインフラも整備
・車の量産、普及により生活スタイルから都市構造まで社会を大きく変えた
・出来るか出来ないかではなく、必要があるか否かで決める
・改善は「たかが・・」の中に潜む
・仕事の増減に柔軟に対応する「少人化」
・総合モビリティ(移動関連)企業への躍進
・客が欲しいものを欲しいと思うときに届ける
・生産指示書「カンバン」:引き取りカンバンと生産指示カンバン。今は電子式に。
・「一個流れ」生産は変化に強く、在庫も圧縮できる。リードタイムを短くできる。
・空運転は生産性はないので「働き」ではない。「ニンベン(人偏)のある稼働(動ではない)率」
・標準作業:タクト・タイム(作業時間)、作業手順、標準手持ち(仕掛品の数)
・水すまし:現場の段取り役。ベテランが担当
・ラインストップを恐れるな。(ラインを)止まらなくするために止める。
・組織のフラット化は時代の流れ。社員構成が逆ピラミッド型では立ち行かなくなる
・総合的モノ作り能力:実務能力(ハンドスキル)、仕組みを作る能力(問題解決)、人をつくる能力(人材育成)
・トヨタが求めるT字型人材:縦棒が得意分野(一芸に秀でる)、横棒が改善能力、指導力(TOYOTAのTか?)
・顧客は主体的に車を選びたがっている
・環境対応を成長のための好機と捉える。環境で稼ぐ
・人を幸せにする技術はどんどん人に教えなさい
-目次-
第1章 強さの秘密、トヨタの「DNA」を徹底解明
第2章 企業も人も勝ち残る術は「改善」
第3章 個客の時代に応えるには「トヨタ生産方式」
第4章 右肩下がりの時代に逆に飛躍した「革新トヨタ」
第5章 世界を驚かせたハイブリッド車最新「プリウス」開発物語
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