読書メモ

・「金持ち父さんの投資ガイド 入門編 ― 投資力をつける16のレッスン
(ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター:著、 白根 美保子:訳、筑摩書房 \1,600) : 2007.08.05

内容と感想:
 
現在は情報時代。それ以前は会社や組合、政府が面倒を見てくれていたから、お金の運用などそれほど知る必要がなかった。 しかし今日、寿命は以前よりも長くなり、退職後の人生も長い。退職後の経済的な安定を得るには、それを支える資産をもつことが 必要だというのが「金持ち父さん」シリーズのコンセプトだと理解している。
 そのシリーズの本書は「洗練された投資家」になるためのガイドブックである。 投資家育成プランとして5つのステージをもうけ、その第一ステージを本書で、残りを「同 上級編」で述べている。 著者は「金持ちになるプラン」の第一ステージ。これが一番重要だと言う。 ここでは洗練された投資家になるための「心と頭の準備」をすることになる。
 投資することの3つの理由として、以下を挙げている:
1.安心していられること
2.快適であること
3.金持ちであること

 人間の人生の違いはこれらの選択肢にどう優先順位をつけるかに拠る。 多くの人は上記の順番で優先順位を付ける。金持ち父さんや著者はこれとは逆の優先度を決めた。 著者の投資の師でもある「金持ち父さん」の方式はビジネスを立ち上げ、そのビジネスに不動産や株などの資産を買わせる方式である。 実際に教え子の著者も実践している。
 著者が好きなのは不動産投資のようだが、皆が彼の真似をしたらどうなるのかと考えた。 供給過剰で資産価値は下がり、また極端な話、皆が貸主になれば借り手はいなくなるのではないかと。
 本書では「投資力をつける16のレッスン」を通して読むことで、投資のための心構えがでいることを狙っている。 そして「投資はプラン」だという。しかし自分に合ったプランを見つけるのは自分の仕事であるから、 本書が具体的なプランを提示してくれるわけではない。あくまでも考え方の訓練までなのである。

○印象的な言葉
・最終的に投資するのはビジネス。まずビジネスに強くなる必要がある。
・最良の投資法は自分でビジネスを起こし、ビジネスを通して投資すること
・真の投資家は市場の上下に関係なくお金を儲ける
・投資は危険ではない。(コントロール能力をもたないことで)それをコントロールできないことが危険
・税法は公平ではない。金持ちのために、金持ちによって定められている
・他のみんながやっていることことと正反対のことをやれ
・技術をみがき、より多くのリスクを背負えるようになる
・給料をもらうことに中毒になってはいけない
・心配するのは時間の無駄。心配は問題解決の邪魔になる
・真の投資家は商品や手法にこだわらない。プランを持ち、商品や手法に複数の選択肢を持つ
・言葉が考えを作り、考えが現実を作り、現実が人生になる。人生を変えるには、まず言葉を変える
・投資はプラン。それは単調で、退屈な、機械的なプロセス。方式は複雑より単純がよい。そのプランをやり通す自制心。
・考えないようにすればするほど、より少ないリスクで、心配も少なく、お金を作る出せる
・多くの人は一番大事な資産である自分の時間を無駄に使い、大したプランもなく人生を彷徨い歩いている。
・自分に低い評価を下して人生の可能性をせばめている
・チャンスは株式の場合は一瞬、不動産の場合は数年だけ
・最高の投資家達は市場が下がったほうが多くの金を儲ける。市場は上がるよりも速く下がる
・KISS(Keep It Simple, Silly: 馬鹿らしいほど単純なままに保て)に沿っていなかったらリスクが高い
・自分が知ることの限界まで来たときは、いくつか間違いを犯すべき時
・本当のことだけを言っているのが一番。自分がついた嘘は全部覚え切れない
・自分が欲しいものを他人に与える
・資産を買わずに作り出す。作り出すのは「考え方」

-目次-
第1ステージ 投資家になる心構えはできているか?
 第一章 「何に投資したらいいのでしょう?」
 第二章 しっかりした土台を築く
 第三章 金持ち父さんの十六の投資家レッスン
 第四章 九十対十の謎とは何か