読書メモ
・「現役大学教授がこっそり教える 株式投資「必勝ゼミ」」
(榊原 正幸:著、PHP研究所 \1,500) : 2007.03.18
内容と感想:
著者は会計学が専門。その専門知識から編み出した株式投資の必勝方法を解説した本。
彼の投資法を実践すれば年間利回り30%以上を達成できると謳う。
誰もが知りたい銘柄の選別、買値と売値の決め方(意思決定の究極の3ステップ)を独自の理論で説明する。
基本は株投資の基本「バリュー(割安株)投資法」であり、できるだけ安く買って、高く売るという当たり前のもの。
ただ安いだけでは駄目で、銘柄(企業)の選別が大切になる。
銘柄、売買価格の判断基準は個人的な思い込みでなく、客観的な基準を提示している。
著者はバフェットの投資法に彼自身の分析を加えて編み出したという。そして極めて安全で堅実という。
特徴は東証一部に限定(財務的に安全で優良な企業)、3〜6ヶ月の中期的なスタンス、でキャピタルゲインは再投資、貯金して毎年同じ額を資金に加えていく、
資金を半分残し、購入後に下げたときのナンピン買いにも備える、損切りしない、信用取引はしない、といったところ。
4章以降の後半は実践編になってて実際に著者の投資法を使った意思決定をし、その成績と手法の有効性を示している。
著者のホームページでは有料の会員制の投資情報も提供し、
本書と連動させている。ちゃんと書籍の限界とネットの利点を理解している人で、商売が上手い。
試しに本書が説く銘柄選別法でスクリーニングすると、1つもヒットする銘柄がなかったのにはがっかり。
タイトルには「こっそり教える」とあるが、既に著者の必勝法は多くの人に知られており、先回りして株は買われてしまって、既に割高になっているということだ。
うまい話はない。
○印象的な言葉
・複利のチカラで100万が20年で1億9,000万に。
・住宅はローンで買わない
・投信は他人に任せっきり。それで失敗してもなんら学ぶことがない。投信は委託しているのであって投資とはいえない
・株は懲りて降りた者が負け
・株の損得は生涯通算でプラスであればよい
・お金持ちとは経済的な自由を得ることができている人、長期の資産形成を達成した状態。お金に働いてもらっている
・株で成功する人の第一条件は「マメな人」
・純資産(自己資本)額が企業の真の価値(株主のもの)
・BPSが¥1,500以上なら2期程度赤字を出しても倒産しない
・ROE(収益力の指標)は世間で言われるほど当てにはならない。まず財務状態を見るべき
・PERは株価を説明する能力という点で重大な疑問がある
・学ぶことでリスクを減らす
・バフェットは内部留保利益を重視、自社株買いも歓迎、保有期間は相当長期
・長期的に見れば株価は理論的に(企業の財務内容のみによって)形成される
・株を擬似債券と見る
・最大の資産はアタマの中に貯め込んだ「経験」と「能力」(ロバート・キヨサキ)
・勉強し実践することで「投資経験」と「資産運用能力」、その「結果としてついてくるお金」という大きな「財産」を長期的に獲得
-目次-
第0章 授業の前に
第1章 株式投資のススメ ―バラ色の人生設計を描こう
第2章 それでも知っておいた方がいい株式投資の基礎知識 ―株価の決定要素
第3章 Prof.サカキ式株式投資法 ―投資すべき株はこうやって判断する!
第4章 Prof.サカキ式株式投資法の投資効率 実証編 ―大学ゼミの講議ノートより
第5章 個別銘柄のケース分析編 ―より具体的な投資法を身につける
第6章 総まとめ ―株式投資究極の必勝法
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