読書メモ

・「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法
(ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター:著、 白根 美保子:訳、筑摩書房 \2,200) : 2007.09.02

内容と感想:
 
「金持ち父さん」シリーズの本書でのキーワードは「レバレッジ」。 著者のお金の世界の師「金持ち父さん」は1番大事なのがキャッシュフロー、2番目がレバレッジだと言ったそうな。 つまりレバレッジ、梃子の原理をうまく利用することで金持ちになろうというのが本書のテーマである。
 400ページ超の大作だが、難しい理論は何もない。難しいのは自分の考え方、行動を変えることだ、ということが本書には書かれている。 まず第1部では頭脳、言葉の持つ力を正しく利用することについて書かれている。頭を有利に、思い通りに使えれば、 第2部以降は簡単に出来るという。 第2部はよい投資プラン、しっかりしたプランを持つことの大切さを説く。 第3部はプランに従って実行に移すこと、より実践に近い内容になっている。 不動産、紙の資産(株、債権など)、ビジネスといった3つの主たる資産を手に入れるためのハウツウが書かれている。
 本書は2001年(ITバブル崩壊、9.11事件)の株価暴落時に書かれたもの。 最近、経済紙やニュースでも大きく取り上げられているサブプライムローン問題だが、 第12章の「この国(アメリカ)が直面している大きな問題の一つが低所得者用住宅。ホームレス、スラム街に住む人を減らす。この国の問題の多くはスラムから生まれる」 とかいった記述は真っ先にサブプライム問題を連想させた。低所得者に住宅を持たせたいという理念はよかったが、金利上昇に伴って住宅ローンを 払えなくなる人が増えてきた。それが複雑な金融商品に組み込まれて世界に売られていたため、世界経済に不安をもたらせている。 また第7章の「不動産がアメリカ経済の大きな部分を占めている。不動産業界が痛手をこうむれば国の経済も痛手を被る」という記述も 今後のアメリカ経済の後退を連想させる。果たして、著者は本書を書いているときに、現在のような事態を予想していただろうか?
 著者は積極的な不動産投資で資産を大きくしてきたらしいが、今回の問題でローンが払えず多くの人が住宅を手放さなくてはならなくなった場合、 彼らが賃貸で暮らすことになれば、著者は賃貸収入で潤うことだろうし、景気下支えのためにFRBが金利を下げれば、 不動産購入資金の金利支払いも減って、著者には何も悪い影響はなさそうだ。 これが金持ちが景気が良いときも悪いときも上手くやって、金持ちでい続けられる秘訣なのかも知れない。

○印象的な言葉
・自分に対する疑いの気持ちと怠け心に挑戦
・自分の限界を定めるのは自信の不足と怠け心
・他人の時間、他人の金を使う
・チャンスが目の前に現れた時、それを利用するのに必要な教育と経験
・チャンスを探し、見極めるための時間
・Bクワドラント、ビジネスオーナー:多くの人にサービスを提供。そのためのシステムを構築。成功するのが一番難しいクワドラント
・未来はあなたが今日やることによって決まる
・投資対象からすぐに利益が生まれること、キャッシュフローを重視。株や不動産の値上がりを待つのは時間がかかる
・プレッシャーがかかった時に行いに本性が現れる人は多い
・アール・ナイチンゲール:現代ビジネスとモチベーション教育の第一人者
・保障を求め、リスクを避けながら面倒を見てくれる「親代わり」(会社や政府の保護)を常に探して一生を過ごす人が多すぎる
・社会全体が成長し、経済的自立を始めなければならない時が来た
・昔から同じことを続けていると、精神や感情の発達が阻害される
・未知の分野に挑戦し続ける。大きな夢を抱き、新しいことに挑戦し、小さな間違いを犯すのがいい。間違いが人を謙虚にしてくれる。
・毎日、ちょっと危険で大胆なことをやろう。刺激のある生活ができ、いつまでも若々しくいられる
・72の法則:利子10%なら7.2年で元本が2倍になる。20%なら3.6年。
・不動産は買い手や売り手を探すのが他の資産より難しい。その分、取引に時間をかけられる。細かな交渉ができる。
・ストラドル:プット・オプション、コール・オプションの両方を設定する損失防止用の究極の保険。リスク回避とチャンス獲得のため
・偉大な起業家はまず第一に偉大なリーダーでなければならない
・リーダーは他の人たちに自分もリーダーになろうと思わせるような人
・自分の現実を変え、自分の旅を始める。別の世界があるはずだと心に決める

-目次-
第1部 頭脳のレバレッジ
第2部 プランのレバレッジ
第3部 行動のレバレッジ
第4部 最初の一歩のレバレッジ