読書メモ
・「人生練習帳」
(齋藤 孝 :著、草思社 \1,400) : 2007.07.08
内容と感想:
著者は読書や歌から得た言葉の数々が大きな財産となっているという。
名言、名詩などが人生を豊かにしてくれている。
我々はそういう言葉を通して人生の予習・復習を無意識にやっている。
意識していろんなことを人生の予習・復習として捉えよう、というのが本書のテーマである。
人生は日々学習、成長だと思っている私には特に違和感のないテーマだ。
スガシカオ、小田和正、中島みゆきらの曲の歌詞や、ブッダの言葉や宮沢賢治の詩などの数々を紹介し、解説されている。
彼らの言葉が我々の人生の応援歌になっている、という人は多いだろう。そういう言葉が心の支えになってきた。
私が読書の最中に気になった文章の横に線を引くのも、読書メモとしてこうやって書き残しているのも、
新たな考え方や見方を仕入れたり、反省したり、確信を得たりと、まさに予習復習をしているわけである。
そういう意味では私は意識してやっている。
「同じ節回しのビジネス本が仕事人間の応援歌、慰め歌になっている。」というのはなるほどと思った。
それは同じようなメロディの演歌を聴くのと同じなのだそうだ。切り口がワンパターンなビジネス本でも売れる理由はそこにあるらしい。
面白い見方である。本書もビジネス本のカテゴリに入ると思うが、その点では著者ならではの切り口で書かれた本だと思う。
○印象的な言葉
・人生はすべて訓練
・人生の意味は道中に何が起ころうとも最終的には自分がどう意味づけするかで決まる
・自分の年代の輝いていたあの頃
・禅の境地:瞬間瞬間を不連続に生きる。人生まるごとに意味があるかどうかと言う抽象的な問いは立てないという発想。
・幼児の自己中心的な世界観を、段々と外していくのが成長のプロセス
・老年から見た世界の新鮮さ、面白さ
・世界は音で出来ている。自分が共鳴体になる
・あらゆる存在を愛と感嘆と畏敬の心をもって見る
・誰かを崇拝したら本当の自由は得られない
・季節の移り変わりの一瞬を美しいと思う気持ち
・芸術は饒舌に身を飾ろうとする時に衰える
・他人を輝かせる
・動物の子供に弱い。「かわいい」=その頼りなさ、いとおしさ、はかなさ、切なさ
・個性とは自分が演じたい役割に過ぎない
・生き甲斐とは必然性のうちに生きているという実感、その必然性を味わうこと
・季語のある俳句は映像的(写真のセンス)、短歌は気分を短いフレーズで表現(コピーライティングのセンス)
・必然感覚は非日常のかたちで表れたときに感じるもの
・天職は必然性を与えてくれる最上のもの
・人は天職に出会うために成長というハシゴを登り続ける
・理想のない奴はすぐに間違いを犯す。安易な方法を選ぶ
・勝つのは簡単。問題は勝ちの向こう側にあるもの
・小林一茶先生の軽み
-目次-
序章 人生の練習ってなんだ!? ―いつでも誰でも予習復習
第1章 時間ってなんだ!? ―青年・中年・高年それぞれの時期の予習復習
第2章 自分ってなんだ!? ―「わたし」を確立するための予習復習
第3章 出会いってなんだ!? ―出会いを祝祭にするための予習復習
第4章 感情ってなんだ!? ―感情を添わせるための予習復習
第5章 成長ってなんだ!? ―区切りをつけるための予習復習
終章 命ってなんだ!? ―明日へのリレーの予習復習
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