読書メモ
・「最新LLPとLLCの基本と仕組みがよーくわかる本」
(リーディングイノベーション:著, 秀和システム \1,400) : 2007.04.12
内容と感想:
日本の開業率が低下しているという。また、その絶対数も少ない。
そんな日本の産業界の活性化を目指し、新たな事業体制度が整備された。
2005年8月には日本版LLP(有限責任事業組合)が、2006年5月にはLLC(合同会社)制度が施行された。
企業同士、または個人同士、その両方などが共同で事業を興すことで新たなビジネスを創出していくことが期待されている。
個人や仲間だけで起業することとの違い、メリットやリスクを知っておきたくて本書を手にとった。
本書ではLLP、LLCと従来の株式会社や合弁資会社、合名会社との違いや、メリットが書かれている。
株式会社に比べ、規定や規制が緩やかで、設立や運営も容易になるのが特徴。
智恵やアイデアはあるが、資金がないような場合に便利な事業形態とされる。
1社、または1人では対応できないことも、LLPやLLC設立で以下のような点で有利となる。
・変化への対応スピード、フットワークの軽さ
・個々の得意な技術や専門性を結集、相互に弱点を補完。製造、受注を効率化
・株式会社のように出資比率で支配権を奪われたり、報酬もその比率で決まるなどのデメリットを回避。独立性を確保
・共同仕入れなどでコスト削減
・共同することで価格交渉力など外部との折衝力を向上
・共同で広報活動
・合弁会社や提携(資本、技術、事業)などのように責任が曖昧にならない
また、設立の仕方や、各種手続きのお手本やFAQも書かれている。
日本での設立例としては、以下のような形態が多いようだ。
・税理士や会計士といった士業と言われる専門化が集い、幅広いニーズに応えるためのコンサルティングチームを作る
・ソフト開発やコンテンツ開発などでエンジニアやクリエーターが組む
・系列からの脱皮を目指す中小企業の連携
リスクの大きい研究開発段階はLLPを活かしてスタートし、拡大が見込めたら一旦、解散して株式会社化することも可能で、
LLC(法人格がある)なら解散しなくても、株式会社へ組織変更できる。
LLP/LLCを活用して、オリジナリティある技術やビジネスモデルを持つ個人や法人が連携し、
専門特化した、自主開発商品を創造していくことで日本が元気になっていくことが期待される。
○ポイント
・LLCの社員は労災、雇用保険には原則加入できない
・アメリカではベンチャー企業とは言わず、スタートアップ企業と言う
・スピンアウト:元の記号とは関係が切れる。自己資本で独立
・スピンオフ:親元の企業の知的財産や販売チャネルなどの資産を活用。部門の独立・起業
・LLPへの課税はLLPそのものではなく、構成員(組合員)へ。パススルー課税。
-目次-
第1章 今、なぜLLP・LLCなのか
第2章 LLP・LLCとは
第3章 ベンチャー、新規事業開発とLLP・LLC
第4章 LLP・LLCを設立するには
第5章 LLP・LLCの会計・税務
第6章 LLP・LLCの事例をみてみよう
第7章 LLP・LLC成功のポイント
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