読書メモ
・「イタリア人の働き方 〜国民全員が社長の国」
(内田 洋子、シルヴィオ・ピエールサンティ :著、光文社新書 \740) : 2007.08.11
内容と感想:
イタリアというと何をイメージするだろう。地中海、マフィア、パスタ、フェラーリ、サッカー(セリエA)、日独伊三国同盟、・・・。
人口5,700万人に対して、法人登録数2,000万社という。労働人口が半分とすれば(労働できる)国民全てが社長という計算。
サブタイトルはここから来た。
最近、日本人の働き方は世界的に見ても変(異常)なのではないか、と思い始め、働き方に関する本を読み始めている。
そして本書に出会った。イタリア人に学べることがあるのではないかと期待して読んだ。
イタリア人というと日本人ほど勤勉ではないという勝手なイメージがある。
良く言えば日本人よりもずっと人生を楽しんでいる印象だ。
「まえがき」ではいきなり「イタリア人は怠け者だ」と来るから、私の持つイメージも似たようなもの。
また「あとがき」では「満身創痍の三流国」とも書かれているが、そんなイタリアが経済破綻も起こさず、ファッションやデザインなど
様々な産業でリーダー格であり続けている不思議さにも触れている。
著者の分析ではイタリアの強みはどうやら「個人の独創性を発揮する分野」にあるようだ。
本書では著者が取材した、いろんな業種のマエストロ<達人>たち(多くが社長)が登場する。
イタリア人は凡庸を嫌うと言われるとおり、いずれの人物も映画のような劇的な人生を歩み、成功を収めている。
だからどの章も楽しく読めるだろう。こんな会社なら入りたい、こんな会社を作りたいと思ってしまうのは私だけだろうか。
特に興味深かったのは第五章のカシミア製品のクチネッリ社の社長への取材。
彼は「商売も愛情が基本。人間というものへの理解が大事」と言う。紙面の関係で取材内容はごく短いものだが
この項を読むだけでも、こんな会社が世の中にあることが奇跡だと思うくらい感心した。
この項だけでも是非読んで欲しい。こんな会社なら私も入りたいと思う。
○印象的な言葉
・イタリア人は自分の人生の意味をよく心得ている。人生を満喫したいと考えている
・自分の持つ価値観を優先する
・人生を楽しむためには懸命に働く
・無政府主義的な血が流れている。上に立つ者は当てに出来ない。自分で頑張るしかない。
・家族こそが国家
・本能的に<当たり前>ではいられない人種。凡庸を嫌う。人を驚かせるのが好き
・本当の成功は自己実現できたこと。自分の人生の<経営者>になる
・人間性回帰。個人の幸せを基盤にした、新ルネサンス時代
・屈辱的な仕事などこの世にはない。どんな仕事も誇り高く一生懸命やり遂げれば必ず成功する
・xx好きの人が信頼してくれるような達人になる
・中途半端なクラスの客は去り、最後には手作りの味を愛する選ばれた客だけが残る
・優雅に見える曲線、女性のボディラインのようなもの
・マニアックなまでのこだわり、大量生産を拒絶できる勇気
・楽しく質の高い仕事をすることが幸せ
・クオリティは量と比例しない
・なかなか手に入らない<宝石>としてのxx
・小さくてもきりりとしたxx
・夢を追いかけると毎日がとても新鮮
-目次-
第1章 サービスの達人たち
第2章 手仕事の達人たち
第3章 食の達人たち
第4章 プロジェクト・リーダー
第5章 人に幸せをもたらす経営
第6章 イタリアならではの職業
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