読書メモ
・「香港大富豪のお金儲け 7つの鉄則」
(林 和人 :著、幻冬舎 \1,300) : 2007.07.21
内容と感想:
著者は中国株のインターネット証券会社、ユナイテッドワールド証券の会長。
日本経済のバブル崩壊前後の頃に日本の証券会社の香港支店勤務となり彼の香港大富豪との付き合いが始まった。
彼がそこで出会った3人のタイプの異なる大富豪との交流の話や、会社を辞めて独立することになった経緯も書かれているが、
著者は香港で彼らから本書のテーマである香港大富豪が持つ「お金儲けの7つの鉄則」を学んだ。
大富豪たちはその鉄則を忠実に実践しているという。
その7つの鉄則は以下のとおり:
・経済的合理性(Reasonable)を第一に考える
・お互いに儲ける
・お金に感情をはさまない
・資産は不労所得で増やす
・一極集中投資こそ王道
・国境を越えて投資する
・つねに三年先を検証する
最近、お金持ちの考え方に興味をもつようになり、この手の本を読み始めたが、
香港人はお金にはしたたかだな、と感じた。その原因が老後の不安にあることも知った。
著者が出会った富豪家は最初から資産があったわけではなく、努力して資産形成していった。
「仕事→人脈→不労所得」の流れが資産形成の王道だという。
いい人脈をつかむには自分の仕事を極める必要があり、若いときはハードワークの修行時代も必要なのだ。
著者は証券会社のサラリーマンとして香港にいるうちに、日本の金融ビッグバンを知り、これをチャンスと見た。
「日本の復活は個人金融資産の活性化なくしてはありえない」、
「勤勉な日本人が不労所得や国際金融投資に関心を向ければすごいことになる」と考え、日本の個人投資家に期待を持った。
こうして独立し、香港でビジネスを始めた。
第三章ではマカオやベトナムへの成長期待を書いている。
○印象的な言葉
・香港で作られる華僑資産は日本の国家予算に相当
・不労所得が持つ魔力と大きな落とし穴
・不労所得だけの人生は、人生や性格をいびつにする。人間関係にもひび
・香港島セントラル地区:世界一金融機関の多い都市
・日本のバブル経済のとき、証券マンが「売り」を勧めるのはタブー
・感情は誰もいないところで一人で吐き出せ
・返還前の香港のイメージ:魔宮、麻薬取引の温床、チャイニーズマフィアの資金洗浄
・1997年は返還前に香港から多くの華僑投資家が香港の土地、資産を処分して海外へ移住
・流動性の低いものは価値が上がりやすく、下がりやすい。車や家なども同じ
・感情に支配されている状況がギャンブル、本能と感情を抑える経済行為が投資
・上昇相場のピーク時には会社の資産(土地や現金)などが株価を動かす
・人脈:人の集まるところに金は集まる
・人を選ぶ基準:よく働き、創造的知識に富み、裏切らない(短期利益を追求しない)
・クリティカル・マス:ある一定の段階に達すると、そこからは急激に成長する
・香港一の資産家、長江財閥リー・カーシン。大老賽(トップを走るボス)と言われる。
1989年の天安門事件後に中国投資を拡大し台頭。
・華僑の大金持ちが互いに紹介し共有するメンター:心から信頼するその世界の専門家
・国家を持たない華僑。年金や保険もない。社会福祉も皆無。老後の不安がある
・交渉するときは、まず冗談のような安い値段を言ってみる
・お金に試され、翻弄される
・経済成長する国の条件:若い世代の人口増加率が高い、投資環境の整備、財政状態が良好
・投資は勉強、情報、タイミング
-目次-
第1章 私の運命を変えた三人の香港大富豪
第2章 お金がたまる華僑の発想術
第3章 巨万の富を築く華僑の投資術
第4章 具体的な行動を起こすためのヒント
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