読書メモ

・「のんびり!カンタン!!幸せな長期投資
(澤上 篤人, 横田 濱夫:著, 経済界 \1,333) : 2007.02.24

内容と感想:
 
澤上氏の名前は長期投資の投信「さわかみファンド」で知った。デイトレードなど短期で儲けようとする投資家が多い中、 彼のような人は少数派であろう。長期で持つことのリスクも指摘されているからだ。 そういう意味では億万長者バフェットと投資スタイルは似ている。 ポイントは「筋のいいものを安いときに長期で持つつもりで買う」だ。
 本書では「長期投資のすすめ」を二人の対談方式で書いている。 特に難しい数式も出てこないし気楽に読めるだろう。経済理論よりも感性の世界なのだ。 長期投資のためにはどっしり、ゆったりした構えが必要だが、年2、3回は発生する株式暴落を見逃してはいけない。 そこを狙って仕込むのだ。しかし長期だからその企業の将来の成長が見込めるかの判断が大切だ。これが一番難しい。 澤上氏は10年、20年は潰れそうにない会社、世になくてはならない会社、を買うという。
 本書が言いたいことはよく分かるのだが、よほどのお金持ちでないと大きな金額を運用できないし、 大きな金額でないとリターンもわずかとなる。 悟りを開いた人でもない限り、余裕資金が多くないとなかなかゆったりと構えてはいられないのが貧乏人の悲しさだ。 しかし立ち止まっていてはいけない。自分で運用して将来に備えないといけない時代になっている。 国にだけ頼ってはいられないのだ。
 じっくり資産運用しているほど暇ではないのが一般人。  安心して運用を任せられるファンドがあればいいが、そんなうまい話は簡単には教えてくれるものではない。 その筋のコネクションが必要だそうだ。お金持ち達はそういうものをもっている。 お金持ちになるのが先か、コネを作るのが先か?どちらも難しいと考えてしまう。

○印象的な言葉
・損してもいいや、と気楽な気持ちで始める
・勉強すればするほど迷って買えなくなる
・素直に心で感じて、さっさと行動する
・筋のいいものを安いときに長期で持つつもりで買う
・書いたいものを決めておき暴落を待つ
・株価低迷期こそ長期スタンスが有効
・おおらかに、軽やかに、希望を捨てず
・納得して、心安らかに、気分よく
・勉強は片時も怠らない
・ビジョンや志がないと長期投資はできない
・儲け方を重視。安っぽく儲ければ、薄っぺらなお金の使い方になる
・リズムが悪いと思うときは相場を休む
・自分の価値パターンを作る
・ファンドマネージャは15年後に10人中1人残るかどうかの世界
・社長の人相のほうが参考になる
・トヨタを安いときに買うのが一番
・いま不動産投信REITがバブっている。余ったお金がまた不動産へ流れている
・外国の金持ちは分からないものには手を出さない。「土地勘」を大事にし、相性のよい銘柄を繰り返し売買しているだけ
・運用資産を失っても本業でまた稼げばいい
・世界の株式時価総額は米国5、欧州3、日本1、その他1の割合
・株式は長期に渡りインフレに対抗できる数少ない資産
・暴落するときはよいものも吊られて下がる。そのときにいいものを拾う
・REITは不動産自体の値上がりと、そこから上がる賃貸収入を見込む。オフィスビルを対象とする銘柄が金利上昇局面では強い
・証券会社の投信は一般客に最後のババを掴ませるために売っている
・インデックス型ファンドはある指数に連動することを目指すもので、運用コストは低いが、大きな儲けも損もない無難なタイプ
・運用しやすいファンドのサイズ100〜200億円。大きすぎると自滅する
・憧れ銘柄主義

-目次-
第1章 投資で損する人、儲かる人
第2章 みんな素人、もっと気楽にやろうよ
第3章 運用ベースのお金持ちが総中流のなかから誕生する
第4章 振り回されず、自分のペースで投資する
第5章 株価や景気は「気分」、長期投資は「感性」の世界だ
第6章 アセットアロケーションが生かせない機関投資家
第7章 ほんの少し汗をかいて、自分で試してみよう