読書メモ

・「よくわかる最新半導体の基本と仕組み
(西久保靖彦:著、秀和システム \1,800) : 2006.03.05

内容と感想:
 
DVDレコーダー、大画面TV、高機能携帯電話、などなどデジタル家電が売れている。 家電量販店も店舗拡大を進めるなど、日本での家電消費は盛り上がっているようだ。 それら家電の基礎ともなる半導体。トランジスタやダイオードといった部品は構造自体はシンプルで、 長く用いられてきた。しかしその内部で何が起こっているかを理解している人はエンジニアを除けば少ないだろう。
 本書は半導体の基礎からLSIの設計、製造工程までを図解で解説した本。 半導体の基礎知っているつもりだったが、いい加減な理解だったことを思い知らされた点もあり、復習にもなった。 昔、習った電子計算機の教科書よりも断然分かりやすいだろう。また、LSIの設計、製造工程までは知らないことも多く、 より身近になった。
 LSIには高機能、小型化が要求され、その開発コストも大きくなっている。これらの要求に伴って、 消費電力の増加や配線配置の難しさなど課題も出てくる。製造手法や工程に様々な工夫がされていることが理解できる。 特に微細加工技術の進歩には驚かされる。多層化など知恵を絞っている。
 第8章ではイメージセンサーや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体レーザーなどの仕組みにも軽く触れている。

○ポイント
・多結晶シリコン(ウエハー原料)の純度はイレブンナイン(99.999999999%。小数点以下9桁)
・LSIのほとんどはCMOSタイプ
・化合物LSI(ガリ砒素系など)はシリコンLSIより高速処理に向く
・IP(Intellectual Property)ベースのLSI設計手法
・携帯電話の小型化の歴史がLSIの歴史
・C言語ベースのLSI設計:仕様設計からHDL設計までの一貫した上流開発工程。手順の明確化と開発期間短縮。
・配線はアルミからより低抵抗率な銅へシフト
・FRAM: 高速、低消費電力、書き換え回数は10の12〜15乗
・MRAM: 高速、低消費電力、大容量、書き換え回数は無限

-目次-
第1章 半導体とは何か?
第2章 IC、LSIとは何か?
第3章 半導体素子の基本動作
第4章 デジタル回路の原理
第5章 LSIの開発と設計
第6章 LSI製造の前工程
第7章 LSI製造の後工程
第8章 半導体応用事例