読書メモ

・「齋藤孝のビジネス問題集 あのプロジェクト成功の法則
(齋藤孝:著、中経出版 \1,200) : 2006.10.28

内容と感想:
 
誰もが知っている4つの有名なプロジェクトを取り上げて、その成功の秘密を探る本。
 NHKの人気番組「プロジェクトX」みたいな本だが、実際に「プロジェクトX」に取り上げられたプロジェクトもあり(宅急便、新幹線)、 それを引用もしている。タイトルに問題集とあるように「そのとき、どうしたか?」「あなたなら、どうするか?」と問う問題が、 いくつも途中に出てくる。 いろいろな課題にぶち当たったときに、自分だったらどうするか?と考えながら読み、ビジネススキルをアップすることを本書のコンセプトにしている。 経営者やプロジェクトのリーダーになったつもりで読み、考えていくのだ。リーダーならではの発想、アイディアが参考になるだろう。
 『宅急便』の小倉元社長、『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス、『ディズニーランド』のウォルト・ディズニー元社長はそれぞれ個性的で カリスマ性のあるリーダーであるが、『新幹線』プロジェクトのリーダーを知る人は少ないだろう(三木忠直さんという)。国家的なプロジェクトであったし、特定のリーダー個人の 成果として賞賛されたわけでもないから仕方がないが、高度経済成長期の日本を象徴するビッグ・プロジェクトであったことは間違いない。 世界に誇る新幹線を実現できたのは高度な技術力はもとより、それらを結集して実現させた強力なリーダーシップがあったはずである。
 本書の4人のリーダーたちには当時は本書のような問題集なんてなかったことであろう。先人が考えたことをこうやって学べるというのは素晴らしい。 日本にどんどんよいリーダーが育つためには、そういった教育が必要だろう。

○印象的な言葉
・プロジェクト力:無から有を生み出す力。新しく仕事を作り出す創造力
・リーダーの条件:明確なビジョン、ニーズの感知力、強烈な意志
・宅急便はライフスタイルをも変えてしまった
・ニーズがあれば後から商売は伸びてくる
・書店の店員もただ販売しているだけではだめ。もっとほかに営業ができるのではないか?本の紹介・アピール、読み聞かせ
・仕事に個人的な思い入れをうまく潜り込ませる
・技術のレベルが高ければ応用力が高い
・プレゼンのコツ:具体的な数字、達成する方法、不退転の決意
・気持ちが冷めないうちに一気に完成にもっていく

-目次-
第1章 ニーズをつかむ力 ―規制緩和のさきがけとなる『宅急便』プロジェクト
第2章 最初にベストを投げる力 ―シリーズ化を成功させ『スター・ウォーズ』プロジェクト
第3章 使命に徹する力 ―高度成長期の日本を象徴する『新幹線』プロジェクト
第4章 信念を貫く力 ―巨大事業を一気に完遂した『ディズニーランド』プロジェクト