読書メモ

・「教育欲を取り戻せ!
(齋藤孝:著、生活人新書  \660) : 2006.06.11

内容と感想:
 
「教育欲」とは教育への情熱、教育熱と言い換えてもいいだろう。人間の三大欲求(性欲、食欲、睡眠欲)にも劣らない「教育をしたい、教えたい、(相手を)伸ばしたい、伝えたい」 という欲求である。これも人間の種族保存の本能なのではないかと著者は言う。(勉強したい、学びたいという学習欲ではない。両方が上手く組み合わされば素晴らしいのだが)
 戦後日本を駄目にした大きな原因は誤った教育だと言う声は多い。近年、体罰などの強制が生み出す弊害を恐れるあまり、 学校など教育現場では教育に腰が引けた状態になっているのではないかとも言っている。 以前の熱血教育が行き過ぎたものであった、との反省が親にも教師にも生まれてしまった。 しかし人間がもつ根本的な欲求である「教育欲」を正しく発揮することで、日本が再生できると説く。
 学校以外にも親子間の教育、企業や社会での教育、老後の教育、男女間の教育なんてのもある。 最後のページでは教えること、学ぶことで年をとっても若さを保てるのではないか、という面白いことも書いている。

○印象的な言葉
・中年以降、男性は教育拒否の姿勢に入る
・知らないと恥ずかしい、という文化があった。今の若者は無知を恥ずかしいと思わなくなった。
・自分で気がつくことの大切さ
・反抗期の原因は言葉が伝え切れない苛立ち、新しい価値観への戸惑いなどにある
・反抗期の子供には「従兄のお兄さん」のような「斜め上」の関係がよい
・孔子が弟子の育成に励んだのは晩年のわずか4年のこと
・効率のよい学習方法を知れば、努力の軸がぶれることがない

-目次-
第1章 「教育欲」とは
第2章 「教育欲」の使用上の注意
第3章 親子間の教育はかくも難しい
第4章 恋愛と教育欲
第5章 教育欲をどう生かす