読書メモ
・「孤独のチカラ」
(齋藤孝:著、PARCO出版 \1,200) : 2006.01.21
内容と感想:
人間一人では生きていけない。一人で生きているんだ!と不遜なことを言う者は家族、周囲、社会、などへの感謝が足りない。
「お蔭様で」とは良い言葉だ。
しかし、いつも誰かといるわけにもいかない(望まなくても望まない人と一緒にいなければいけないこともあるが)。
大勢で仕事をしていても孤独を感じることもある。
話はそれたが、一人になる時間は必要だと思う。それを孤独と表現してしまうと、その語感には寂しさが漂う。こちらのほうが確かに本の題名としてはインパクトはある。
著者が言いたいのは「一人になる時間」(これを孤独と表現していると捉える)は大切だということ。自ら進んで孤独になれ、と言っている。
孤独にはエネルギーが必要で、厳しさが伴う。
一人にならないと集中して出来ないことがある。そのほうが圧倒的に効率がよい場合がある。特にクリエイティブな作業、勉強や読書のような知的な活動だ。
第二章で<単独者>と言う単語が出てくる。私は好んで単独で山歩きに出かけることが多い。
単に山が好き、というのもあるが、頂上を目指して、ただひたすら一人で歩く道のりは自然との対話でもあり、
自分と向き合う時間でもある。何も考えずに歩くこともあれば、あれこれ考え事をすることもある。歩きながら考えることの効用は著者も別の著書で書いていた気がする。
第三章で日記の効用を書いているが、最近流行のブログ(ネット上の日記とされる)について、本当の秘密は書けないし、本音も書けないから、もどかしいのではないかと言っている。
興味深い意見である。第四章では”週末充電”なる言葉が出てきた。今の私も平日の仕事疲れで、まさに週末充電状態だ。
○印象的な言葉
・読書は著者が精神上の友達・親戚となり、死者(既に亡くなっている場合)との交信でもある
・自期力・・自らに期待する力。群れの中に埋もれて終わりたくない
・一人になって<自分の中心を取り戻す>
・書くことで考えが整理される。クリアになる。
・心は留まり続けていると具合が悪くなる ⇒外を歩く。内にこもらない
・年齢によって人生と夢との折り合いの付け方は変えたほうがいい。大人の工夫。
・孤独感の共有、肯定、美しさ、孤独の連帯感、センチメンタルな孤独。孤高。
・高い精神性とつながりたい
・所在のないほどの苦しみはない(漱石)
-目次-
第一章 失われた十年<孤独と私>
第二章 <単独者>として生きる
第三章 孤独の技法
第四章 ひとりぼっちの世界<孤独の実践者たち>
第五章 孤独のチカラ
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