読書メモ

・「しっかり儲けを重ねる株のスピード売買術
(仁科 剛平、阿部智沙子:著、日本実業出版社 \1,400) : 2006.07.29

内容と感想:
 
デイ・トレーダーと呼ばれる超短期の株式投資家がいる。ちょっとした値動きを見逃さずに売買を繰り返し、 こつこつ利益を上げようとしているようだ。普通のサラリーマンには出来る芸当ではない。 本書はデイ・トレード(日計り売買)とは違うが短期(1〜2ヶ月)よりももっと期間が短い投資スタイルを紹介している。 1〜2日から長くて2週間前後を想定している。
 明らかに右肩上がりの成長が望めるのなら長期のスタンスでよいが、ビジネス環境の変化は激しいこの時代、 何年も先を見通すことは難しい。昔よりも資産としての株式の効果が減少したといえる。 株を長くもつことのリスクを意識して、手っ取り早く儲けたい、というのが本書の趣旨である。 このスタンスはデイ・トレードとそんなに変わらないだろう。投資というより投機に近い。 超短期の利点はどんな相場にでも対応できること。下降トレンドでも株価は変動するためそれなりに利益を上げられるという。 1回の売買での利益は小さいが「塵も積もれば」式で利益を積み上げていく。
 酒田五法というチャートの見方や、トレンド先読みツール「スパイダー」なるものがあることを初めて知った。 本書ではファンダメンタルを重視せず、テクニカル分析を駆使する。売買タイミングや相場の転換点、方向性を知り、 相場のスピードについていくために主観を排除して機械的に売買する。
 第2章でチャートの基礎知識を解説した後、第3章で短期トレードに役立つテクニカル指標(トレンド系、オシレータ系)の使い方を説く。 第2部は実践編で短期トレードでいかに有利に約定するかがテーマ。1回の売買の利益が小さいから確実に利益を出し、 損失を最小にするためのノウハウが必要だ。ケーススタディを使って売買シナリオの考え方を学ぶ。

○ポイント
・ジャスダックのマーケットメーク銘柄は売り買いの価格差が大きく、投資家に不利な価格形成
・50万円の資金で2万の利益が出れば4%のリターン。これを19回繰り返せば100万を超える。
・相場の反転の初期段階は勢いがある
・ストキャスティクスは揉み合い相場に対応できるが、大相場では上値を逃すケースあり
・RSIは値幅ぼ大きな相場には弱いが、買い場では精度が高い。売り・買いのポイントに入ったときより、出たときの方がよい
・RCIも売り・買いのポイントに入ったときより、出たときの方がよい。しかし微妙なところで止まることが多く使い勝手が今ひとつ
・MACDは移動平均線より早く正確に転換点を示す。ダマシが少ないが、揉み合い相場に弱い。シグナルが頻繁に出ない。大相場向け。
・パラボリックも揉み合い相場に弱い。はっきりした相場向き。
・長く保有しても値幅が比例して大きくなるわけではない
・トレンドはよいのに信用売り残がはるかに多く、増加基調なら買い
・低位株は安い分、1割2割上昇しても「高くなった」印象を与えにくい
・分割発表直後に飛び上がった後で一旦売られても、権利確定が近づくと再浮上することもありチャンス。

-目次-
第1部 スピード売買に勝つ”武器”を使いこなせ!
 第1章 ブロードバンドで“超短期”がトレードの主役に
 第2章 短期トレードをするためのチャートの基礎知識
 第3章 短期トレードにテクニカル指標はこう使え!
第2部 勝てる短期トレード実践マニュアル
 第4章 「さあ買うぞ」の前に押さえたい重要ポイント
 第5章 ターゲット銘柄はこうして選べ!
 第6章 儲かる売買シナリオはこう書く!
 第7章 有利に約定するための「板情報」活用術
 第8章 「スピード売買」にピッタリのネット証券はどこだ?