読書メモ
・「絵で知るギガビット・イーサネット」
(日経NETWORK :編、日経BP社 \1,800) : 2006.07.15
内容と感想:
最近のパソコンにもギガビット・イーサネットのポートが標準搭載されるようになり、
LANの通信速度は更にスピードアップしている。それだけやりとりする情報量が増えたとも言える。
本書はイーサネットとは何かから始まり、これまでの10M/100MイーサネットとGビット・イーサネットの
違いを説明し、更にはその進化形である10Gビット・イーサネットや同じケーブルで給電もしようという
規格(Power over Ethernet:PoE)についても触れている。
一番の興味はどのようにして1Gビット/秒もの高速通信を実現したのか、という技術面である。
ギガビット・イーサネットでは様々な工夫がされている。既存の10M/100MなどのLANでも使えるような工夫や、
LANケーブルの4対のより対線を全て使ったり、符号化を工夫して(8B1Q4)1つのパルスでより多くの情報を送れるようにした。
これにより同じケーブルでも伝送に必要な周波数を抑えながら100Mの10倍もの高速通信を実現することが出来た。
これらの技術を実現するために高度なLSI技術がNICやスイッチのMACチップ(コントローラ)やPHYチップに活かされている。
○ポイント
・100Mイーサネットの実効周波数は31.25MHzに対して、ギガビットでは62.5MHzに抑えている。
・8B1Q4では8ビットのビット列に誤り訂正用の1ビットを加え(トレリス符号化を採用)、これを5値(5段階の電圧)に変換し、
更に4対のより対線で送るために4つに分解する。これにより4つの5値コードで5の4乗(=625)の組み合わせが作れるため、
1度に8ビットのデータを送ることが可能になった。
・ギガビットでもCSMA/CDを実現するためにキャリア・エクステンション(最小フレームサイズを64から512バイトに拡張)、フレーム・バースト(これはオプション)技術を採用。
・ギガビット・イーサネットの実力を引き出すにはそれなりの性能のPCが必要。イーサネットパケットの処理にCPUが食われる。
・TCPのウィンドウサイズと受信バッファサイズを大きくすればスループットは上がる
・10Gビット・イーサネットはLANではなく広域イーサネットと呼ばれるWANで使用される。全国規模の巨大ネットワークに利用できる。
光ファイバを使うためイーサネットの中核CSMA/CDは捨てられた。LANと同じイーサネット技術を使うため保守・運用が容易で、
ネットワーク構築も安価にできる。しかも高速というメリットがある。
・ギガビット・イーサネットでもPoE(IEEE802.3af)は使える
-目次-
Part 1 ギガ時代に突入したイーサネットの概要
Part 2 ギガビット・イーサネット徹底解剖
Part 3 10M/100Mイーサネット完全理解
Part 4 絵で知るLAN技術の基礎
Part 5 10Gビット・イーサネットとPower over Ethernet
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