読書メモ
・「ガズーバ! 〜奈落と絶頂のシリコンバレー創業記」
(大橋禅太郎:著、インプレス \1,400) : 2006.02.18
内容と感想:
著者はシリコンバレーでガズーバ(gazooba)というユニークな社名の会社の創業者(ファウンダー)だった。
(今、gazooba.comにアクセスすると、ロゴしか表示されなかった。2001年に会社は売却されたそうだ)
1994年にインターネットと出会いインターネットビジネスに目を付け、98年にはガズーバの前身となるマイルネットという会社を起こし、
インターネット上のバイラルマーケティング(インターネットを活用した口コミによるマーケティング手法らしい)というサービスを始めた。
いわゆるドット・コム企業のひとつであった。
私にはガズーバのビジネスモデルがよく分からないのだが、本書からは当時のシリコンバレーのベンチャービジネスの活況ぶりがヒシヒシと伝わってくる。
(ちなみに本書が出たのが2000年。インターネットバブルの絶頂期である。著者はまだ熱狂の中にいたわけだから、熱気があり生々しいのも当然か。そして2000年春頃、バブルははじける)
著者はインターネットビジネスを始める前は石油探査の現場で働いていたそうだ。石油探査はギャンブルのようである。掘り当てればラッキー、というビジネス。
その彼が次に目を付けたのがインターネットビジネス。ビジネスチャンスを掘り当てるのは石油探査と同じだと言う。
起業ストーリーとして面白おかしく書かれているので、読み物としても楽しめるが、ベンチャービジネスに成功するためのヒントや心意気、
会社経営の苦労話(資金調達や人材集め)が興味深い。
最近の著者は日本でマネジメントコーチのサービスを展開している。
印象的な言葉:
・競合と戦う方法は一つ。イノベートし続けること。
・業界トップに居続けるためには、必死で走りまくるしかない
・経営コンサルタントの能力:現象の観察、一般化、および改善策を見つける力
・パーミッション・マーケティング:友人という究極のパーミッション(許可)を持つメディアを通して宣伝する
・プロパテンション指数:Viral Marketingの指数。注目の広がり方を表す。
・IPOするには、それなりの勢いと一社で利益を生み出せるモデルをもっていなければいけない
・スタイルを持っている人間:トラブルに出くわしても与えられた状況下で最善の結果が出る
・アウトソース:専門知識だけでなく、スピードも買う(弁護士など)
・ネゴで手に入れると有利に持ち込める3つのパワー:決定権、時間的な余裕、規則
・企業戦略がはっきりしているかどうかは、”しないこと”がはっきり言えるかどうかで分かる
・日本のビジネスに欠けているのはマーケティング
・多くのファウンダーにはエクスポレーション(鉱脈の探査)がうまい連中が多い
・出席者のエネルギーが上昇するミーティングとそうでないミーティング
・巻き込まれた側が幸せに感じるようなエゴイストがカリスマ
-目次-
第1章 [起業]インターネットとの出会い
第2章 [企画]ムチャな夢を立ててみる
第3章 [創業]できるヤツは会社を起こす
第4章 [調達]投資家から資金を引き出せ!
第5章 [始動]ガズーバ誕生
第6章 [組織]ドット・コム企業を取り巻く人々
第7章 [経営]こうして会社は動く
第8章 [第二ラウンド]モデルチェンジ
第9章 [法則]シリコンバレー・ベンチャービジネス
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