読書メモ

・「ディープインパクト 〜 無敗の三冠馬の真実
(島田明宏:著、廣済堂 \1,400) : 2006.03.11

内容と感想:
 
ディープインパクト。昨年(2005年)、ルドルフ以来21年ぶり、史上2頭目の無敗の三冠馬となった競走馬だ。 その話題性は大きく、社会現象とまで言われ、落ち込んでいたJRAの馬券売り上げアップにも大きく貢献したことだろう。
 この本の表紙を見て、つい衝動買いしてしまった。そして一気に読み切った。 昨年末の有馬記念では残念ながら年上のハーツクライの2着に敗れ、無敗の冠はなくなってしまったが、 翌年以降の活躍を期待させる強さであった(単勝を買って、損したが・・)。
 本書はそのディープインパクトの三冠への奇跡をつづったドキュメンタリである。 有馬記念よりも前に発刊されているから、菊花賞までの記録となる。 著者は「武豊の瞬間」の著者であり、彼の著作を読むのも多分それ以来だろう。 主戦騎手の武豊や池江(泰)厩舎関係者のインタビューはもとより、デビュー前の関係者などの声も聞け、 三冠馬の裏話・苦労話が知れて興味深い。
 ルドルフにはいつしか「皇帝」という称号が与えられたが、本書の中で武豊はディープに「英雄」という称号を贈っている。 ディープの厩務員・市川さんはディープを「お坊ちゃま」と呼んでいるそうだ。普段は”三角食べ”をしたり、行儀もよく賢いようだ。 年が変わって、今年のディープの動向が気になるところだが、2006/03/19(日)の阪神大賞典で初戦を迎えるようだ。期待したい。

○印象的な言葉
・やわらかく、なめらかで、飛ぶような走り
・力を効率よく伝える理想的なフォーム
・スピードが乗ったときの気持ちよさ
・(一方で)スピード感を感じない
・優れた心肺機能
・大股のストライド走法でありながら、回転の速いピッチ走法でもある
・無駄な動きがなく、四肢の送りが速く、エネルギー消耗が少ない
・着地している時間が短い
・サラブレットの理想形
・2005年は世界中で同世代の名馬が活躍した年。彼らが誕生した2002年はサラブレッドのヴィンテージイヤー

-目次-
第1章 牧場時代
第2章 衝撃のデビュー
第3章 最初の戴冠
第4章 それぞれの「競馬の祭典」
第5章 頂点の味
第6章 「英雄」の夏合宿
第7章 再始動の秋
第8章 栄冠