読書メモ

・「こどもたちへ 〜夜回り先生からのメッセージ
(水谷 修:著、サンクチュアリ出版 \1,200) : 2006.11.11

内容と感想:
 
11月初めの三連休初日。体調がよくなく早い時間に布団に入って横になっていたら眠ってしまった。 ふと目を覚ましてTVのチャンネルを順々に変えているるとあるチャンネル(NHK教育であった)で水谷先生(名前は後で知った)が何か喋っていた。 時計を見ると深夜である。テロップに”夜回り先生”とあったから、ああ、この人か、と彼の代名詞だけは知っていたから、興味本位でしばらく見ていた。 そのうちにどんどん引き込まれて、夜回り先生がテーマの再放送番組を2本連続で見ることになった。
 その内容は衝撃的であった。世の中、奇麗事ばかりではない。しかしこれほどに苦しんでいる子供達の存在が、これほどに広がっている、 という事実を認識させられたのだ。そして自分の全てをそういう子供達に捧げている夜回り先生。 こんな世の中にこんな人がいるのだということも驚きというか、救われる思いであった。 その影響で本書を手にすることになった。
 表紙の帯に「いま、生きにくいと感じている子どもたちへ」と書かれている。大人も”生きにくい”と感じているかも知れないが(私もその一人だが)、 世の中を知らず、苦しみを表現する手段も知らない子供にはもっと生きにくいだろう。 まさに今、子供の自殺、いじめ問題が各メディアで話題になっている。 遅いくらいである。そうとう前から問題はあったが国も放置状態だった。その間も子供たちは死によってその苦しみを訴えている、逃げ場を失って死を選んでしまっている。 その苦しみをうまく訴えられずに自分を追い詰めている。親も学校も地域も大人はそれに気付いていない。行き過ぎた個人主義が無関心を生んでいるのだろう。
 親も学校も地域も、この国も酷い状態だ。子供たち、そして人間には幸せになる権利がある。 いじめによって苦しめ、死に追い込んだりする権利は誰にもない。親や家族が彼らを追い詰めていることすらある。 簡単に生を諦めて死を選ぶことを弱虫、卑怯だと言うような知事もいるようだが、強いあなたはいい。突き放さず、受け止めて欲しい。そして何が出来るか考えて欲しい。
 死んでいく子供たちは生きていれば将来、素晴らしい才能を花開かせ、この世にどんな大きな功績を残すかも知れないのです。 苦しんでいるあなた、逃げてください。簡単に死なないでください。誰かがきっと助けてくれます。日本はそこまで落ちていません。

○印象的な言葉
・生と死は暴力。誰も逆らうことは出来ない
・ただ黙って、彼らの話をゆっくり聴く
・自分病:自分のことしか考えていない。自分にこだわることで悩みは生じる
・人に優しさをくばる
・悩んでいる時間を明日のために使ってください
・救いは自分の中にしかない
・継続する苦しみは我慢してはいけない
・不幸の連鎖が多くの子供の命を奪っている
・自分で決めたこと、やったことには自分で責任をもつ。それさえできれば自由。
・今の社会は攻撃的な社会
・子供はみんな花の種

-目次-
はじめに
こどもたちへ
おわりに
おとなたちへ